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清 竜人 ライヴレポート

清 竜人 ライヴレポート

【清 竜人 ライヴレポート】 『清 竜人 歌謡祭』 2018年8月26日 at 東京キネマ倶楽部

2018年08月26日@東京キネマ倶楽部

撮影:釘野孝宏/取材:池田スカオ和宏

2018.09.03

どんな音楽性に移ろうがファンが離れないアーティスト。それにはそのアイコンのみならず、生み出される楽曲にも高い魅力や中毒性が必要だ。そんなファンをしっかりと魅了してきた清 竜人が、これまた根強いファンを多く擁する吉澤嘉代子と東京キネマ倶楽部で、“歌謡祭”と題された饗宴を成功させた。

まずは初のDL購入楽曲が清の「痛いよ」だったと語る吉澤がサポートギターとともにステージへ。曲毎にさまざまな光景や景色、物語に佇ませてくれる彼女の歌たち。ことこの日はそこに妖艶さも加わり、より翳りが増した「おとぎ話のように」、歌謡性を場内に広げた「ケケケ」、シティポップ性とたゆたうラップも特徴的な「えらばれし子供たちの密話」、アコギの爪弾きに乗せ、まだ昨日の中で生きてたいとの気持ちが込められ歌われた「残ってる」らが曲ごとに、自身の歌世界へと誘因する。

対する清は最近の平成昭和歌謡路線を基調に「ソロ清竜人」の縮図を展開。まずは同会場特有のテラスから「Love Letter」とともに歌い降り、さすらい的な新曲「TIME OVER」等がムーディーに歌われる。対して初期の幻想的で神秘的な「All My Life」「痛いよ」もファルセットやウィスパー頻度も高い透明感を保ち、やさしく甘く場内を包み込んでいく。

また、この日は未作品化の楽曲も光った。要領良く生きることへの困惑を歌った「馬鹿真面目」、最終電車感溢れる「私は私と浮気をするのよ」、椅子に深々と座り歌われた「涙雨サヨ・ナラ」が来る新作への期待を募らせた。後半はゴージャス路線。「LOVE&PEACE」等中期の曲が彩れば、最新曲「平成の男」では平成ならではの観点があえて昭和的なサウンドにて歌われた。ラストは11月14日発売のデュエット曲「目が醒めるまで」も初披露。相手の吉澤に、この日の主旨に合点がいく。かっては大恋愛し今は離れ離れのふたりが相手を思い心を通わせる歌が胸を締め付ける。

曲毎に場内を人恋しくさせたり、強がったりさせた、この日。これだけ高い魅力や中毒性を擁していれば、これからもファンはしっかりとついていくであろう二者を頼もしく思った。

撮影:釘野孝宏/取材:池田スカオ和宏

清 竜人

キヨシ リュウジン:2009年3月にシングル「Morning Sun」でメジャーデビュー。14年より一夫多妻制アイドルグループ“清 竜人25”としての活動を開始。プロデューサー兼メンバーである清 竜人とその妻たちで構成されるアイドルの固定概念を覆すまったく新しいエンターテインメントを展開するが、17年6月の幕張メッセイベントホールにて行なわれたライヴをもって解散。16年12月からは清 竜人25の活動と並行して、清 竜人とリスナーとの関係性が単なる演者と観客ではなく、同じ目線でライヴを楽しむというコンセプトの“清 竜人TOWN”の活動も開始。18年、レーベルをキングレコードに移籍し、ソロとしてのアルバム制作を約5年振りに開始する。

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