LIVE REPORT

Brian the Sun ライヴレポート

Brian the Sun ライヴレポート

【Brian the Sun ライヴレポート】 『Brian the Sun TOUR 2019 「Lonely Go!」』 2019年4月13日 at 渋谷CLUB QUATTRO

2019年04月13日@

撮影:白石達也/取材:山口智男

2019.05.13

迷いが吹っ切れたことをアピールするには、十二分すぎるほどインパクトはあったと思う。それはある意味、衝撃的ですらあったかもしれない。3月13日にリリースしたメジャー3rdアルバム『MEME』を引っ提げ、全国7カ所をワンマンで回った『TOUR 2019 「Lonely Go!」』。ツアータイトルに『MEME』に先駆け、リリースしたシングルのタイトルを持ってきたのは「Lonely Go!」がテレビアニメのオープニングテーマである一方で、バンドの新たな覚悟と決意を込めた曲だったからだ。

そんな想いの表れなのだろうか。“おいおい! みんな、緊張してんのか? もっと来いよ!”と森良太(Vo&Gu)がいきなり煽りながら「HEROES」で演奏をスタートすると、そこからほぼ間を空けずにつなげていったのは、『MEME』の曲を軸にインディーズ時代のレパートリーからも選んだ、アップテンポの曲ばかり。終盤に披露した「死」のフォーキーでサイケデリックな演奏ももちろん聴きどころではあったが、そんなセットリストからは今回のツアーに懸けるバンドの気迫が感じられた。そして、4人が取っ組み合うように、それぞれの楽器を鳴らした「ファストワルツ」をはじめ、90年代のグランジ/オルタナというルーツに回帰した『MEME』の曲を立て続けに演奏した中盤、バンドの演奏はこれまで感じたことがない熱を放ち、それまで手を振りながらバンドに応えていた観客を圧倒するほどの凄みを見せつけたのだった。

この日、“『MEME』はもう1回、バンドが楽しいと思えるアルバムになった。なおかつ、(今回)ツアーが楽しいと思えた”と森は語ったが、その言葉は終盤、16年6月のメジャーデビュー以来、バンドを応援してくれる多くの人たちの期待に応えようと考えすぎるあまりに“俺たちはポップでキャッチーなバンドだったのか?”と迷い、“去年は解散するかという気持ちで1年やっていた”と打ち明けたことで、より重みを増したはず。

そして、“もう大丈夫です!”と森は宣言。“明るい曲やろう。みんなの声を聴かせてくれ!”とアンセミックな「僕らの未来を照らすためのうた」からラストスパートをかけると、自分たちも含め、器用に生きることができない人たちに“社会に馴染まなくていい。自分の道を行くしかない”とエールを送って、爆音で鳴らした「まじでうるえせ」まで駆け抜けた。

そんな彼らがこの日、アンコールに選んだのが、バンドの向こう意気を象徴するインディーズ時代からのアンセム「ロックンロールポップギャング」に加え、バンドの絆を歌った「the Sun」と「MILK」だったところが心憎い(その他に「13月の夜明け」もやった)。特に森、田中駿汰(Dr&Cho)、白山治輝(Ba&Cho)、小川真司(Gu&Cho)の4人がリードヴォーカルをリレーしながら、Brian the Sunというバンドに今一度、存在理由を与えた「the Sun」を、ポップな曲作りを意識したメジャー2ndアルバム『the Sun』からこの日、唯一演奏したことには大きな意味があったはず。

その想いを観客も受け取ったのだろう。4人がステージを降りても、止まないアンコールを求める声に応え、再びステージに戻ってきた彼らは“もう1回やろう!”(森)と予定になかったダブルアンコールに「ロックンロールポップギャング」をリプリーズ。迷いを断ち切るような渾身の演奏と、“こんなの見たことがないって景色を作ろう! もっと来い!”という森の言葉に観客が応え、その日一番の熱狂が生まれた。そして、それを体験した誰もが、この日、森が宣言したとおり、 Brian the Sunは何があってももう大丈夫と確信したに違いない。

撮影:白石達也/取材:山口智男

Brian the Sun

ブライアン・ザ・サン:2007年、大阪で結成。『閃光ライオット2008』で準グランプリを獲得。メンバーチェンジを経て11年4月より現在の編成となる。コンスタントな制作、ライヴ活動で全国に名を広め、16年6月にテレビアニメ『僕のヒーローアカデミア』のエンディングテーマとなったシングル「HEROES」でメジャーデビュー、18年1月にはテレビアニメ『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』のオープニングテーマとなったシングル「Lonely Go!」をリリースした。

関連ライブレポート