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乃木坂46 ライヴレポート

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【乃木坂46 ライヴレポート】 『乃木坂46 LIVE IN 荒野 〜Valentine Special〜』 2021年2月6日 at バーチャルライヴ

2021年02月06日@バーチャルライヴ

取材:一条皓太

2021.02.10

乃木坂46が2月6日、バーチャルライヴ『乃木坂46 LIVE IN 荒野 〜Valentine Special〜』を開催した。

NetEase Gamesが開発・運営する中国発の大人気バトルロワイヤルゲーム『荒野行動』とタッグを組んで開催された同ライヴ。乃木坂46は1月にも同様のコラボライヴを行なっているが、今回は初回の好評を受けてステージ内容をさらにグレードアップしたバレンタインバージョンとして届けられた。本稿ではメンバーらによる当日のパフォーマンスをはじめ、初回開催時との操作ギミックにおける差分や、乃木坂46が『荒野行動』と手を取り合う意義について考えてみたい。

ライヴには乃木坂46の26thシングル「僕は僕を好きになる」選抜メンバー全19名が出演。齋藤飛鳥、松村沙友理、山下美月、与田祐希、賀喜遥香の5名は、3DCGというかたちでもパフォーマンスを届けてくれた。

開幕曲は山下と与田の3期生コンビがセンターを務めた「インフルエンサー」。ここでは切れ味鋭い振り付けなどで、楽曲の備える冷ややかながらも情熱的な空気感を表現。同時に実感したのが3・4期生が多く選抜メンバーに選ばれることで、グループとしての歌声の雰囲気に変化が加わっていたことだ。もちろん、そのトーンは歌唱曲の内容に合わせつつも先輩メンバーの後押しもあってか、全体的にフレッシュでのびのびとしていて、非常に新鮮な印象として映っていた。

また、前回にはなかった追加曲として新たに「ガールズルール」を披露。センターは昨年グループを卒業した白石麻衣の原曲に代わって松村が初担当した。グループ内でも人一倍に白石への愛情が強かった松村。この人選にほろりと涙を誘われたファンも多かったはずだ。そんな松村を中心に、彼女の特徴的な背伸びをしない癒しのある声に歌い出しを任せることで、これまで以上にしとやかな解釈が楽曲にもたらされていた。振り付けのキュートな敬礼ポーズも、彼女らしい愛嬌たっぷりさで届けられたことも付け加えておきたい。

そこから『荒野行動』とのコラボソング「Wilderness world」を歌唱。サビ前での目元を凛々しく強調した振り付けや、その後の勇ましい足取りを表現する特徴的なステップなどで、人が厳しい環境を“生き抜く”姿を体現していく。続けて、賀喜がセンターを務めた「制服のマネキン」を経て、最後は「Sing Out!」の温かな雰囲気のままライヴは締め括られた。

今回はバレンタインライヴとしてステージ全体の色合いにも変化が。前回は青×紫の照明をベースにしていたが、ピンク×紫でより乃木坂46らしいカラーに。ステージ裏の演出も幻想的な西洋城は前回より引継ぎつつ、2曲目「裸足でSummer」では新たにこれからの季節が待ち遠しくなる満開の桜の木を登場させたりと、ますますバラエティーに富んだものとなっていた。

さて、バーチャルライヴと言えば、肝心なのはユーザーが操作するアバターの可動性。360度の会場を縦横無尽に走り、自由自在にポーズや動きを操作するといった部分は言わずもがななギミックだ。今回のライヴでは「Sing Out!」披露時にリズムゲームの要素を盛り込んだ前回の内容に加えて、自身の操作コマンドがますますインタラクティブとなったギミックを追加。例えば、観客フロアーの空中に浮かぶブロック間を移動し、特設ステージに設置された風船で空中に舞い上がるなどはそのひとつ。アリーナからドーム会場規模の見え方を再現するように、自分の好みの角度・距離・高さからステージを鑑賞できるようになっていた。

そして、何より驚かされたのが、「ガールズルール」にて観客フロアーに突如として出現した一面の“プール”。『荒野行動』らしい演出の一環として、前述した3DCGのメンバーがパフォーマンス中に車に乗り込み、観客フロアーの後ろから花火を打ち上げるという突飛な演出は前回開催時も確認できたが、まさか今度はプールを作ってしまうとは。

確かに、同曲MVではメンバーがプールを舞台に、夏らしく清涼感たっぷりに踊るシーンが象徴的である。「ガールズルール」とプールのイメージは結びつきがなされているものだ。とはいえ、“ガールズルールを聴くなら、やっぱりプールでしょ!”という発想からか、視聴者自身がプールに入り、メンバーの前をクロールするというのは、いい意味で発想が新しすぎる。現実世界ではあり得ない演出をバーチャルの力で実現させ、観るものを圧倒してしまう一幕は、まさに“没入型”なライヴだったと言える。

ところで、今回の『荒野行動』でのバーチャルライヴについては、事前に発表されたニュース等で“進化”というテーマを目にすることが多かった。この“進化”という言葉になぞらえれば、後輩メンバーが力を増してきたり、『荒野行動』を通して中華圏に本格的なアプローチを始めた現在の乃木坂46にも重なるところがある。また、『荒野行動』はサバイバルを通して人の“生命力”を描いているが、これは乃木坂46においてもかたちは違えども本質は同じだろう。アイドルとして幅広い領域で経験を積み、自分自身をアップデートしながら、時には限界にチャレンジする姿勢も常日頃の活動からはそうかけ離れていないはずだ。この点については、今回のセットリストにも感じられたところである。というのも、“戦い”を扱う『荒野行動』とのコラボライヴともなれば、サイケデリックなサウンドで孤独さを歌う「Wilderness world」のような楽曲をイメージしたくなるものだ。

だが、ライヴの最後に選んだのは、それとは対になる万人の仲間への“愛情”や“調和”を歌った「Sing Out!」。実は、この2曲には“僕ならここにいる”という自身の存在証明や生きる意味を歌ったフレーズが共有されている。グループのイメージからは少し離れた、“銃器”を使用する『荒野行動』。その世界観に合わせてサウンドは異なれど、“生命力”というテーマには一貫して寄り添っていた...という見方は少しこじつけになってしまうかもしれない。

ただ、今回のようなコラボライヴにおいても、最後まで乃木坂46らしい気品に満ちたステージで、“調和”の心を歌い上げていたことは、2021年で10年目を迎えるグループの揺るぎない軸を確かに表していた。同様に『荒野行動』もゲームカルチャーやバーチャル技術の領域において、現在進行形で大いに進化を続ける姿勢を示していたのではないか。この双方が今後、さらに幅広いジャンルでの活躍を見せてくれると期待したい。

なお、『乃木坂46 LIVE IN 荒野 〜Valentine Special〜』は、2月14日のバレンタインデー当日にもアンコール放送を予定。本稿にて興味を抱いた読者には、ぜひご覧いただきたい。

取材:一条皓太

乃木坂46

“AKB48の公式ライバル”をコンセプトとする、秋元康が手がけるアイドルグループ。所属メンバーは桜井玲香、柏幸奈、白石麻衣、生田絵梨花、生駒里奈など。2011年8月、4万人近い応募者の中から33人の1期生が選出された。同年10月、TV番組『乃木坂って、どこ?』がスタートし、2012年2月に1stシングル「ぐるぐるカーテン」でデビューを果たす。3rdシングル「走れ!Bicycle」のカップリング曲「人はなぜ走るのか?」は、『FIFA U-20女子ワールドカップジャパン2012』のオフィシャルソングに起用された。AKB48をはじめとする、いわゆる“48グループ”と異なり、拠点となる劇場を持たず、各ホールでパフォーマンスを行う。また、その公演内容も他とは違い、オリジナルミュージカル『16人のプリンシパル』(2012年)、『16人のプリンシパル deux』では2ステージ制を導入。前半終了後の観客による投票数で、出演者の後半のポジションを変更した。2013年に2期生オーディションを実施し、13人が合格。同年7月に新編成での初シングル「ガールズルール」をリリース。

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