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【ライヴレポート】 『DIAMOND FES -2021 SUMMER-』 2021年8月23日 at Zepp Tokyo

2021年08月23日@Zepp Tokyo

撮影:青木早霞/取材:岩田知大

2021.08.30

2019年に日韓アーティスト共演で産声をあげた『DIAMOND FES』。今年5月2日にKT Zepp Yokohamaで行なわれたことも記憶に新しい中、8月23日にZepp Tokyoで『DIAMOND FES -2021 SUMMER-』が開催された。有観客&生配信にて実施された同イベントには、元w-inds.の龍一によるソロプロジェクトDRAVIL、FAKY、急遽出演が決まったハンサム判治が参戦。さらに“ROOKIE LIVE”として3ピースロックバンドのアマアシとツインヴォーカルユニットの21Selfも出演した。開催までに新型コロナウイルスによる数アーティストの出演キャンセル、当日にはMADKIDもキャンセルをせざるを得なくなったが、今回の『DIAMOND FES』はイベント開催に不安を覚えるファンへ向け、ひと筋の希望の光を照らしてくれた。そんな同フェスの白熱したライヴ模様をお届けしたい。

■ アマアシ ■

トップバッターは“ROOKIE LIVE”より2013年に結成された3ピースバンドのアマアシ。イベント開催のカウントダウンに会場が盛り上がる中、一発目に放たれたのは夏目龍一(Vo&Gu)によるクリーントーンでキレのあるギターリフから始まるエモーショナルロックナンバー「連鎖」。横井 亨(Dr)と、急遽出演できなくなった正規メンバーの石黒浩太郎(Ba)のサポートとして参加した侍文化の大澤伸広との息の合った力強い演奏も加わるイントロでオーディエンスのボルテージが一気に上がっていくのが分かった。サビで夏目が力強く声を張り上げて歌う姿からもロックバンドならではの熱量と楽曲を届けたいという想いがひしひしと伝わってくる。センターとサイドに置かれた特大スクリーンの映像が曲の世界観とマッチして、より一層ライヴを盛り上げていた。続いて披露されたのは新曲「風の琹」。夏目のクリアーで伸びやかな声が際立つミディアムナンバーで、秋が近づいてきた今の時期にさわやかな風を届けてくれる。そして、ギターのアルペジオから始まる泣けるバラード曲「小さな手」では、バックモニターでは同曲のリリックビデオが映し出され《繋がり合った 目と目で話す 言葉なんて 必要ないね》という歌詞が映った時、観客が声を出せないライヴでもアマアシの想いは演奏でオーディエンスへしっかりと伝わるものだと筆者は改めて感じられた。ラストは最新配信シングル「ナツノカゲロウ」を披露。青空の映像をバックに演奏され、メンバーひとりひとりが一音、ひと言に想いを込めてプレイしている姿が印象的だった。バンドとしてライヴを通して希望の光を届けたい。そんなメッセージが彼らの演奏に乗っていたのではないだろうか。前回も出演していた彼らだが、短期間で一気に成長していると感じるライヴだった。

■ 21Self ■

続いて登場したのは、シンガーソングライターの桜井零士(Gu&Vo)と勝治秀基(Piano&Vo)からなるツインヴォーカルユニットの21Self。ふたりのハーモニーが心をやさしく包み込む「スタートライン」からライヴがスタート。《足は止めるな 人のせいにするな》という歌詞を聴いた時、コロナ禍で不安を感じていても、何にも負けず自分を信じて進んでいこうという彼らからのメッセージではないかと筆者は受け取りながらパフォーマンスを観ていた。““ROOKIE LIVE”のトリに選んでいただいて本当にありがとうございます!”と驚きと嬉しさを伝える勝治に対し、会場から大きな拍手が沸き起こる。“抽象画のように葛藤などを表現した曲”という紹介で披露されたのは「あっちもこっちも、アイ」。ダークな雰囲気の曲調に特徴が異なるふたりの声が合わさることで、まさに抽象画のように奇跡的な交わりが生まれて、それが心地良く、彼らのすごさを再確認することができた。そして、「呼び声」が続き、これまでの楽曲とは一気に色気を変えたR&Bの「禁断の果実」が投下される。同曲では21Selfがジャンルレスなアーティストであることに驚かされた。その後のMCで“今やっとZeppで歌を歌っていることに気づきました”と夢のような時間を過ごす勝治に対し“今!? 遅いぞ!(笑)”とすかさずツッコミを入れる桜井のかけ合いはついつい笑ってしまう。ラストは“もっと大きな舞台で大勢に演奏できるアーティストになりたい”という自身の夢が込められた「夢の向こう」。うっすらと涙を浮かべながらもしっかりと歌い上げる桜井と勝治の姿が印象的で、歌詞を大切にしながら曲を作っていると話していた通り、言葉のひとつひとつに勇気をもらえるアーティストに出会えたことに喜びを感じられた。

■ ハンサム判治 ■

紹介VTRを経てウクレレ大使、俳優としても活躍しているハンサム判治が登場。彼が率いるジャズバンドのゴリラ人間ズよりTAMAKI(Gu)、稲葉一良(Ba)、藤田純平(Sax)とともにステージへ上がって一曲目に放つのは、自身の葛藤とリアルなメッセージが歌詞に込められた「ロックスター」。丁寧な演奏をバックに力強い歌声を響かせるハンサム判治の圧巻のパフォーマンスはオーディエンスの目を一気に惹きつける。“ライヴハウスも大変な中、みんな来てくれてありがとう!”と感謝を伝えると「DaRumor」を披露。やさしいサウンドに合わせて楽しそうに、自由に歌う彼のステージは音楽の良さを届ける意味で最高のスタイルなのかもしれない。さらに「エレベーター」、CDリリースはされていないがレコーディングは済んでいるという「サンタクロース」を続けて歌唱。ジャズに乗せてゆったりと聴かせる彼の歌声を身体全体で聴き入ってしまうし、時折笑顔を見せながら嬉しそうに歌を届ける姿にはこちらも気づけば笑顔にさせられる。そして、ライヴはハンドクラップでオーディエンスと一体感を生み出した「あかさたな」に。“誰かの笑顔のために、生きる意味を探して歌っている”というメッセージが込められたこの曲を力強いパフォーマンスを観ながら聴くと、彼のアツい想いがストレートに心へ突き刺さる。急遽、ステージの時間が延びたということで演奏されたのは「サクラ」。稲葉の心地良いベースラインが印象的で、自然と身体が揺れ動いていた。終始ジャムセッションで魅せるハンサム判治とゴリラ人間ズのステージは、ライヴハウスで力をつけながら活動してきた彼らならではの歌のパワーが詰まっていた。

■ FAKY ■

「Overture」が流れる中、メンバー紹介映像とともに登場したのは5人組ガールズユニオンFAKY。クラップ音で会場が一気に盛り上がるポップなダンスナンバー「99」からライヴはスタート! そのキレキレのダンスはもちろんだが、全員の歌唱力も彼女たちの大きな魅力のひとつだ。カッコ良いダンスと力強い歌声に1曲目から筆者の身体全体には電撃が走っていた。「Last Petal」はLil’ FangとAkinaが聴かせる伸びやかなサビが最高に気持ち良く、ハンドクラップから始まるアゲアゲなナンバー「Candy」はクールにキメた前2曲とは違い、メンバー全員が楽しそうにダンスする姿も印象的で、中盤では配信視聴者にはコール&レスポンスを、会場のオーディエンスにはハンドクラップを煽り一気に全体の熱を上げていく。そして、バラード曲「Take my hand」、さらにミディアムナンバーの「ダーリン」をしっとりと聴かせ、ハンズアップでオーディエンスとメンバーが一体となった「Someday We’ll Know」で会場を再び温める。MCを挟んで後半戦の一発目はLil’ Fangの力強いヴォーカルもカッコ良いEDMナンバー「Better Without You」。「NEW AGE」ではセクシーなダンスも披露し、“みんな楽しんでますかー!”というTakiの声から始まった「SUGA SWEET」では会場のオーディエンスも配信視聴者もタオルを全力で振り回す。会場がさらに一体となる風景を観て、FAKYのライヴの楽しさを改めて体感することができた。ラストは現体制となり2年前の同日に初めてリリースした「Girls Gotta Live」を力強く歌唱。MCで“残念ながらコロナ禍の影響でライヴに来られなかった方のぶんまで盛り上げていきます!”と話したHinaの言葉通り、配信含め全てのオーディエンスが最高に盛り上がるライヴだった。

■ DRAVIL ■

さぁ、トリを飾るのはDRAVIL! 大きな拍手が鳴りやまぬ中、4人のダンサーとともに登場した龍一が放ったのはシンセウェイヴなサウンドが印象的なシティーポップなダンスナンバー「YOU MAKE ME FEEL BETTER」。キレのあるダンスと透き通るような声で会場をDRAVILの世界観へと一気に導くと、ダークなサウンドとシンセベースのラインにカッコ良いラップが際立つ「REBORN」を投下。ハンズアップでオーディエンスが全力で応える中、ステージ全体を滑るように踊り舞う龍一の姿に見入ってしまったし、なめらかなメロディーが心地良いR&Bナンバー「RUNAWAY」でも身体が自然と横ノリを楽しみ、時折見せるDRAVILのセクシーな表情にドキっとさせられた。そして、“楽しみで眠れませんでした。一番楽しみにしていたのは僕です!”とフェスに出演しトリを務める嬉しさを伝えたMCのあと、未発表曲の「DON’T WANNA LOSE CONTROL」へ。シンプルなEDMではなく、ロックの要素も含むサウンドにバックコーラスとのハーモニーもカッコ良い同曲は、これまでの彼とは違った新しい表現に挑戦したのではないかと思えた。早くリスナーへ届けてほしい一曲だ。ラストナンバー「All I Need Is You」のイントロが流れる中、上着を脱ぎ捨てた龍一。その引き締まった彼の身体にファンの大きな拍手が沸き起こり、色気たっぷりの笑顔を見せながらキレのあるラップによって会場の熱はこの日の最高潮へ。最後まで全身でファンと感情をぶつけ合い、ライヴを楽しむ彼のステージはトリを務めるに相応しいと思う。これからどのように階段を上っていくのか? 今後のDRAVILの活躍を大いに期待したい。

最後には10月1日に同じくZepp Tokyoにて、『DIAMOND FES -2021 WINTER-』が開催されることがアナウンスされた。今回、新型コロナウイルスにより急遽出演ができなくなったアーティストもいたが、そんな経緯があったからこそ、ひとつのフェスを作り上げて継続することの大変さや、その大切さを『DIAMOND FES』は教えてくれたと思う。今回出演したどのアーティストも人前でライヴをすることを心から楽しみ、それぞれが考えるメッセージを楽曲とともに届けてくれたことに感動を覚えたことは言うまでもない。これからのライヴというエンタテインメントに対し、ひと筋の希望の光を照らしてくれる音楽フェスであると改めて再確認ができた。

撮影:青木早霞/取材:岩田知大

SET LIST 曲名をクリックすると歌詞が表示されます。試聴はライブ音源ではありません。

  1. 1

    1. 連鎖

  2. 2

    2, 風の琹

  3. 3

    3. 小さな手

  4. 4

    4. ナツノカゲロウ

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