LIVE REPORT

SIX LOUNGE ライヴレポート

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【SIX LOUNGE ライヴレポート】 『TOUR 2022 "ジュネス"』 2022年12月04日 at Zepp DiverCity(TOKYO)

2022年12月04日@

撮影:夏目圭一郎/取材:山口智男

2022.12.25

“ヤバい、ちょっと緊張してます(笑)。分かる、この感じ? ここで何回もやれると思ってないんで、嬉しいんですよ。来てくれてどうもありがとうございます。何とも言えないピリッとした感じね。存分に楽しんでいこうと思います”

序盤の6曲が終わったところで、ヤマグチユウモリ(Vo&Gu)は観客にそう語りかけたが、いやいやどうして、ほぼ同じ規模のZepp Tokyoや新木場STUDIO COASTで、すでにワンマンも経験しているんだから、自分たちの出自である街のライヴハウスへの愛着はそれはそれとして、“ここで何回もやられると思ってないんで”は謙遜というものだろう。実際、10月にリリースしたEP『ジュネス』のリリースツアーのセミファイナルとなるこの日、SIX LOUNGEはライヴハウスに活動の軸足を置くロックバンドらしい向こう意気に加え、2階席もある約2,000人キャパのZepp DiverCity(TOKYO)を飲み込む大きなグルーブも改めて見せつけたのだ。

この日、彼らが演奏したのは『ジュネス』の6曲を含む全23曲。懐かしい歌謡曲を連想させる哀愁が漂うメロディーを持つ「New Age Blues」で意表を突くように始まった演奏は、“東京!”とヤマグチが声を上げ、畳みかけるようにつなげた「ナイトタイマー」「天使のスーツケース」で一気に加速する。

“大分からSIX LOUNGEです。よろしくお願いします! 『ジュネス』リリースツアー東京編にようこそ。明日から(仕事とか、学校とか)いろいろある人がいるかもしれませんけど、今日この瞬間だけは1回忘れて、楽しんでいってください!”(ヤマグチ)

そんなMCを挟みながら、持ち前の大きなグルーブを印象づけた「Shine」の抑えた調子から一転、凄みのある歌で観客の気持ちに火をつけた「DO DO IN THE BOOM BOOM」、爆音の演奏で圧倒した「僕を撃て」――ともに彼らのライヴの定番と言える2曲をつなげ、ライヴの流れにハズみをつける緩急自在のセットリストは次に何が飛び出すかちょっと読めないスリルがある。

そんなセットリストが組めるのは、ロックバンドを掲げながらやはり彼らのレパートリーが幅広いからこそ。しっかりと歌い上げた「MARIA」、ファンキーな演奏でスタンディングのフロアーを揺らした「IN FIGHT」、ダイナミックにリズムを刻むイワオリク(Ba)、ほぼノンストップでビートを繋げるナガマツシンタロウ(Dr)もヤマグチとともにシンガロングした8ビートのロックンロール「トゥ!トゥ!トゥ!」、“踊ろうぜ!”とヤマグチが声を上げ、再びフロアを揺らした「LULU」に「ORANGE」。

そして、“とてもいいEPができました。すごく時間をかけて、丁寧に作ったので、そのEPから1曲、丁寧に歌いたいと思います”(ヤマグチ)とバラードの「相合傘」を披露した中盤は、やはりバラードの「発光」、ミッドテンポの演奏に爽やかさと切なさが入り混じる「無限のチケット」と続け、じっくりと聴かせる曲の魅力もアピールした。

“明日、誕生日なんです。26年生きてきて、こんな人数の前で歌うとは思わなかったし、バンドが10年続くとも思ってなかったです。10周年もかねてますからね、このツアー。何が起きるのか分からんのですよ、人生っていうのは。何が起こるか分からないんだから、一生懸命やりたいこと、好きなことをやっていれば、どうにかなります。たまに面倒くさいこともあるけど、こういういい日があるんだから、なんとか続けてれば、必ずいい日が来ます。最高の日が来ます。ライヴをやって、そういう一日を俺らが作ればいい。そして、みんなで一緒に気持ち良くなればいいんですよ。もっと良くなりますよ、これからは。もう下に下がることはない。上に上がるしかないんで、気持ち良くなって帰ろう!”(ヤマグチ)

そんなメッセージとともに『ジュネス』で再レコーディングした一二を争うSIX LOUNGEの人気アンセム「メリールー」を披露して、大きな一体感を作り上げると、“Zepp! 俺達のライヴハウス。ぶっとばすぞ!”(ヤマグチ)と「ドレミ・ゴー」から向こう意気をアピールするように性急なロックンロールナンバーを続けていった。「スピード」「トラッシュ」「俺のロックンロール」で3人がラストスパートをかけていることは明らかだった。そのラストスパートに、さらに弾みをつけるためなのか、序盤で披露した「僕を撃て」のリプリーズに観客も大歓び。“跳べ!”というヤマグチの言葉にジャンプで応える。

“Zepp DiverCity(TOKYO)で好き勝手やらせてもらえることなんてないからな。俺はやるよ、好き勝手に。永遠にこの時間が続けばいいと思いますけど、あと1曲なんです。やっと戻ってきた感じがあるんだよね。嬉しい。ライヴハウスが戻ってきた。いつでもライヴハウスにいるんでね。でっかい音を鳴らしているんでまた来てください。セミファイナルでした。歌えて幸せでした”

そんなヤマグチの言葉からもバンドが大きな手応えを感じていることは明らかだった。彼らの活動はここからさらに加速していきそうな予感!

本編の最後を締め括ったのは、ラストスパートの熱狂から一転、『ジュネス』からのロックバラード「Morning Glow」。ダイナミックな演奏とファルセットを交えた歌で懐の深さを印象づけると、アンコールに応え、3人は「夢みた君が大好きだ」と「いつか照らしてくれるだろう」の2曲を披露。バンド名の由来にもなったThe Rolling Stones風のリフを閃かせる後者では、観客が拳を上げながら、身体を揺らす。最後の最後にダメ押しするようにアピールした大きなグルーブがすこぶる心地良かった。

撮影:夏目圭一郎/取材:山口智男