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カノエラナ ライヴレポート

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【カノエラナ ライヴレポート】 『4thシングル 「Queen of the Night」リリース記念ワンマンライブ「月下の夜風」』 2023年11月4日 at 池袋 Club Mixa

2023年11月04日@池袋 Club Mixa

撮影:加藤春日/取材:田中 大

2023.11.11

4thシングル「Queen of the Night」のリリースを記念して11月4日・東京・池袋 Club Mixaで開催されたワンマンライヴ『白昼夢のヒカリ』&『月下の夜風』。それぞれまったく異なる楽曲で構成されていた2公演のうち、夜の部『月下の夜風』の模様をレポートする。

黒いドレスを身に纏い、優雅な足取りでステージに登場したカノエラナ。黒色のアコースティックギターを手にし、最初に届けてくれたのは「宴の合図」だった。ピンスポットを浴びながらアカペラで歌ったあとにギターを合流させ、躍動感に満ちた展開へと突入するさまに引き込まれずにはいられない。2曲目「ダンストゥダンス」はギターから繰り出すビートを乗りこなしながら響かせる歌声が冴え渡っていた。ライヴを観る度に感じることだが、彼女にとってギターは歌をパワーアップさせるための素敵な相棒なのだと思う。歌と楽器の相乗効果で世界を作り上げる表現スタイル“弾き語り”の醍醐味を存分に示した2曲だった。

普段の彼女がライヴ中に飲むドリンクはミルクティーと水の2種類。しかし、今回のステージには3種類が置かれていた。“黄色いの何だと思う? VAAM(栄養ドリンク)です。水に溶かすタイプのパイナップル味。美味しい。ステージドリンクにするかどうか迷っているシンガーソングライター、カノエラナです(笑)”――肩の力を抜いた挨拶を経て“冷たい雪女の風に吹かれてください”と言いつつ歌い始めたのは、TV アニメ『虚構推理 Season2』オープニングテーマ「ヨトギバナシ」。続いて、パンチを利かせた歌声にワクワクさせられた「ヒナゲシ」、狂おしいメロディーをじっくりと歌い上げた「ラフレシア」...と多彩な世界が次々と浮き彫りにされていった。

彼女のライヴのセットリストは曲同士のつながりを持たせた裏テーマのようなものが設定されていることが多い。先ほど披露した「ヨトギバナシ」「ヒナゲシ」「ラフレシア」は“花”つながりであることがMCで明かされたのだが...“ん?”と疑問を抱いたあなたは正しい。「ヨトギバナシ」に関してはタイトルに“バナ”が含まれているだけで、実は花とはまったく関係がない。そんなシャレを利かせた種明かしをして観客を笑わせた彼女は“まだハロウィンを引きずっているので、そんな曲を”と言い、「jOKER」も届けてくれた。観客と歌声を交わしながら浮かべた表情がとても楽しそう。久々のライヴでの披露となった「へるぷみー!」も歌と観客の手拍子が一体となり、楽しい空間を作り上げていた。

“昼と夜の2公演、セットリストが違うんです。上巻と下巻、太陽の巻、月の巻みたいにやれたらいいのかなと思って不思議なセトリを組んでみました。次の曲は歌わないわけないというか(笑)。今日の夜、放送があるのでリアタイしてください。私は毎週リアタイしていますから。この曲を作った時は100パーセント原作に沿ったんですけど、だんだん歌っていくうちに“自分自身も自分で道を決めてきたな”って感じるようになりました。その気持ちをうまく乗せられたらいいなと思っています”
...と語ったあと、本編を締め括ったのはTVアニメ『ティアムーン帝国物語 〜断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー〜』のエンディングテーマ「Queen of the Night」。モノローグのような朗読を経て、壮大な展開を遂げていく様に息を呑まされた。観客の心が動かされている様子が自ずと周囲から伝わってくる。非情な運命に立ち向かう『ティアムーン帝国物語』の主人公ミーア姫の強い意志を描いたこの曲は、人々の心を鼓舞する力も帯びているのだと思う。

男性客の“カノエ!”に続く女性客の“ラナ!”というコール、打ち鳴らされる手拍子に応えてステージに戻ってきたカノエ。““アニメの曲を歌いたいぜ!”からスタートして作詞作曲をするようになってシンガーソングライターとして積み上げてきたものが実を結び始めている途中の段階です。またこれからいろんな道に変わると思うんですよ。新しい面をまたお届けできたらと思いますので、気が向いた時にでもついてきてもらえるとすごく嬉しいです(笑)”と抱いている想いを語る声が明るかった。“最後に1曲やりたいと思うんですけど、お昼のアンコール曲はセルフカバーで藍井エイルさんの「パズルテレパシー」。歌詞の中に電車に乗るシーンがあったりします。夜公演の2曲目「ダンストゥダンス」にも電車が出てきますし、私は時の流れ、人生の流れを電車に例えがちなんです。最後はそういう曲。昼から夕方になって夜を迎え、やがて朝が来るという一連の流れを月下の夜風とともに作れたらいいなぁと思っています”という言葉が添えられ、ラストは「ヤコウレッシャ」が飾った。真っ直ぐに迫ってくる歌声が曲に刻まれた世界を鮮やかにイメージさせてくれる。彼女の歌と向き合う喜びを存分に噛み締めることができた。

カノエによる“「Queen of the Night」無事~”に続いて観客が一斉に“発売ですわぁ~”と、ミーア姫のようなおしとやかなトーンで言うというユニークな合図で記念撮影。そして、ステージをあとにした彼女を拍手と歓声が見送った。こうして終演を迎えた夜の部『月下の夜風』。あらゆる曲が確かな表現力とともに届けられていたことが改めて思い出される。来年の2月にも弾き語りツアーが開催される旨が発表されているが、彼女の歌に魅了される人の輪が各地でさらに広がることになるだろう。

撮影:加藤春日/取材:田中 大

カノエラナ

1995年12月4日生まれ、佐賀県出身シンガーソングライター。無類のアニメ好きで多くのアニメ作品から影響を受け、独特な着眼点から生まれる歌詞や世界観に合わせて色とりどりに変化する歌声と歌唱力で同世代を中心としたZ世代から圧倒的な支持を集めている。

SET LIST 曲名をクリックすると歌詞が表示されます。試聴はライブ音源ではありません。

  1. 1

    1. 宴の合図

  2. 7

    7. へるぷみー!

  3. 9

    <ENCORE>

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