チャットモンチー ライブレポート
チャットモンチー
チャットモンチー Zepp Tokyo
2007年11月17日@Zepp Tokyo
撮影:kazumichi kokei/取材:高木智史
2007.11.17
初めてチャットモンチーのライヴを見たのは渋谷CLUB QUATTROでのワンマンで、今から1年半程前のことになる。その時、荒削りながらも覇気に満ちた彼女たち3人の姿にロックバンドとしての高い可能性を感じていた。その後、ライヴでの演奏力、パフォーマンスが、ある到達点に達した時の期待値を胸にSHIBUYA AX、日比谷野外大音楽堂と足を運び、この日のZepp Tokyoを迎えることとなった。 まず、会場に入ってこれまでのライヴとの熱気の質の違いに気付く。これまでの温かいものではなく、群がりひしめく汗を伴った熱さだったのである。そして客電が落ち、沸き起こる大音量の歓声とクラップ! 橋本絵莉子のゆるやかなストロークと歌声が響き、続いて高橋久美子のドラム、福岡晃子のベースと音が重なっていく。徐々に加速していくサウンドと、そこにばっちりハマった橋本のヴォーカルと福岡のコーラス。明らかにこれまでのチャットモンチーが発していた音やグルーヴとは異なっていた。時を戻してみれば、このステージに立っている彼女たちは怒濤の夏フェスを超えてきた3人衆なのである。さまざまなメディアで注目されるがゆえのプレッシャーに耐え、自らの試練の場と挑んできた夏フェスでの経験は血となり骨となり、このZepp Tokyoでの歌と演奏に反映されていた。まさにツアータイトルをそのまま具現化した、生命力にみなぎったライヴを見せてくれたのである。そんな彼女たちにフェスTシャツにタオルという姿の夏フェスからファンになった観客も会場には見られ、加えてチャットモンチーはファンに支えられながら活動を続けてきたバンドでもあるから、オーディエンス一体型のMCでは温かいシーンも見られ、ライヴ特有の荒ぶる熱気にも満ち、緊張と緩和を繰り返しながらライヴは進んでいく。 福岡は終盤のMCでこう語った。“カッコいいと言われるようなバンドになりたい”。恐らくここまでの本音を語ったのはこの日が始めてのはずだ。女の子3人のバンドということで、不本意な捉えられ方もしてきたはずだし、自分たちの実力も分かっていたのだろう。だからこそ、今まではその思いは伏せ、ただひたすらライヴに全てを懸け爆走してきた。そして、春には武道館2デイズが決定している。今回の『生命力みなぎりTOUR』がそこまでの種まきとなり、この興奮が各地で巻き起こる。“カッコいいと言われたい”。そう語った後の福岡、そして橋本、高橋はより一層気合いの入ったプレイをし、ライヴが終わるまでその勢いは途切れなかった。観る度に次々と新しい扉を明けていくチャットモンチー。彼女たちは今この瞬間もどこかで爆奏している。