ストックホルムPeople In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | | 気を失うほど楽しいのがいいね 鍵をかけて 空の追跡を巻くよ 虹が出たよ −排水溝 渦を巻く 立てこもるリビングで −排水溝 渦を巻く 昔の僕達は互いのドクターだった 野放しで育つこころ 汗はねる 夏のドレス 跳んでみたいな シーツ乱して 天井触れた まさか君が −排水溝 渦を巻く 蛇口をひねるなんて −排水溝 渦を巻く 差し出した両手の代わりに何が欲しいの? 気を失うほど楽しいのがいいね 罪深くたって 飛んでみたいな 背中の羽を1本 ちょうだい ヨハネもルカもマタイも 今日だけはテレビに夢中 流れるニュース 洗面台で君が溺れた! 気を失うほど楽しいのがいいね 罪深くたって 飛んでみたいな 背中の羽を1本 ちょうだい 背中の羽を1本 ちょうだい ちょうだい? 嫌だよ! ちょうだい? 嫌だよ! |
リマPeople In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | | 食卓は無政府状態 騎士のカードが華を添える 記念撮影はセルフタイマー レンズは銃口みたい ハイ、チーズ! メリークリスマス 緊張しいなサンタクロース 写真の僕らは仮面をつけたまま パパは強いけど 欲望に勝てない たぶん明日も ギロチンが広場を分つ 子供の兵隊 行く 毎晩 元通りになったママの王国へ メリークリスマス 緊張しいなサンタクロース 写真の僕らは仮面をつけたまま パパは強いけど 欲望に勝てない たぶん明日も 仮面の子供は走る 聖なる山に分け入って 捕まえられるかな メリークリスマス 剥製のサンタクロース 写真のなかに人影はひとつもない メリークリスマス |
マルタPeople In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | | 水圧に押されて割れた窓 星のようだ 石ころ 口にほおばって 「また間違った」って言った後にやったんだ 電飾で縛って吊るし上げて 3、2、1、目を開けて 海が干上がるまでは内緒にしておくよ 時計は止まったまま 朽ちた木馬 漂っている 火山のそば 通り抜けて 「また間違った」って言った後にやったんだ 電飾で縛って吊るし上げて 3、2、1、目を開けて 「また始まった!」って一斉に歓喜したい 鮮やかなバルーンを撃ち落として 罪は果たされた 海が干上がるまでは内緒にしておくよ |
新市街People In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | | ようこそ 銀色の世界へ そびえる金属の箱へ あなたは憶えていないかもしれない ヒーローだったよ 遺失物センターにも 記憶はみつからない あなたは隠し事だらけ 今にも増え続けるのさ 楽しいことには貸し借りは要らない 震える大地の巨大な秘密 ぜんまい、モーター、シリンダー 不揃いのボルト 重なり合う櫛と歯 地軸震わせ オルゴール鳴りだしたら どおぞ そこは舞台さ オルゴール鳴りだしたら どおぞ 踊ろう 朝まで ぜんまい、モーター、シリンダー 不揃いのボルト 重なり合う櫛と歯 地軸震わせ モルモット駆け出したら ほおら 回るリボルバー オルゴール鳴りだしたら どおぞ 引き金を引け |
スルツェイPeople In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | | 2度目の朝を迎えたよ 乾きに震えるカエル 毎日起こる奇跡に苛まれて 逃げてきたんだ 君が最初に笑う理由を見せて 見えない手に押されて放り出された 舞台じゃないから? 君はかわいい怪物のようだった そうたやすくは手懐けられない 崖の下を青い風 渡る 海馬 叫ぶ 跳ねるエンドルフィン ここは君の大きな傷口 辿り着いたよ 君が最後に笑う理由を見せて 見えない手に押されて放り出された 舞台じゃないから? 海鳴りが轟いた 霊と交わる 更衣室で 押しよせる波 血流 言葉なくす司祭たち 赤ん坊の泣き声は 海の底から突き上がる 神秘が僕に鞭を打つ 「まだまだ君は生きなさい」って 夢から醒めて笑う そこはまた夢 目を開けたまま眠る秘密を見せて そして 君が最期に笑う理由を見せて 見えない手に押されて放り出された 舞台じゃないから? 全然知らなかった 誰も教えてくれなかった 切れた糸電話 ここは屋上 神のプール ふたり行列を離れる ためらう殉教者たち 君が駆け出して 僕は悲しい口を閉じた |
JFK空港People In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | | 君の沈んだプールへ 男たちが飛び込んだ でも君はここにいる 羊飼いが手を上げる たかが知れた痛みのなか 笑みを洩らす君はもう ながくはもたないと思った とっさに「帰ろう」って手を引いた 管制塔 黙り込む 機内の酸素は薄れる かつて嫌った夕焼け 燃える客室のなかで 嘘をつけない体で ふたり こころに決めた 炎はいまに呑み込もうとしてる 来ない迎え 待った 『もしもし パパだよ、ママだよ 今頃は家に着いたかな ごめんね、許して、許して 僕らまだ子供だったんだ』 いいよ、いいよ、知っていたよ 目隠しをして産まれてきたんだよね 君はいま次の夢を見ようとしている 瞳孔を開いて 光の庭は果実で溢れ 朝 眩しいホース 株価は暴落 とある日のニューヨークで 腹を抱えて 笑う 笑う 塩の柱は僕らの前にもうひとつもないよ 歯車が悲鳴を上げるのを僕は聴いた そこはとても寂しい国 経済は脆くも崩れた 粉々に割れたクレジットカード 水浸しの小切手 我らが愛すべき愚かな王様の 国を挙げてもてあます休日 アルコールの海に漕ぎだして 遭難したことを決して認めようとしない 帆が折れて船が沈んでしまっても 君はまだ信じられない 僕を失ったことに 僕はまだ信じられない 君を失ったことに 巡り巡って地球を一周したようだ すでに方位磁針に針はないけれど 城壁の向こうの取り繕った朝食の気配だってもうここにはない 僕の誰にも知られたくなかった君の犯罪者のような目 守り抜こうとしたものは指の隙間から 最後の最後でこぼれ落ちていってしまった それはいつでも滑走路から 離れられずに燃えている でも どうか諦めないで だって 僕たちはまだこの世界に産まれてはいない 荒れ放題の庭で全部の催しは終わっていない 永久に続く寝息のような 優しい象の背中 美しいものは巧妙にカモフラージュされている かけられた巨大な布 大掛かりな手品が始まる 僕はただ君の笑顔が好きなひとりの愚かな人間だった 君のよろこぶ姿が見たかったんだ トイレの床に出現する甘いチアノーゼが 僕たちの足跡をたどって瞬く間に地球を覆い尽くしていく 僕たちはまだこの世界に産まれてはいない 受けとめて、君 みて 晴れた 空から降ってくる |
どこでもないところPeople In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | | かつて家の庭で繰り広げられたパーティーで 様々なものをひとは燃やして帰った それは灰になって 今 降り注いで ほら 君は真っ白な髪を振った みんなどこかへ消えてしまえばいいのにな 願った瞬間にひとり残らず消えた 寝室の扉は閉めて 僕は地上で息を無くした潜水士さ 僕のからだ打ち捨てられた 君の唇 うずく うずく 波はかえさず寄せ続ける 迷路に悩め 出口はないけど 憶えているよ いちばん楽しいことと悲しいことがあった部屋を もうどこへも行かない 君は 寝室の扉は閉めて 僕は地上で息を無くした潜水士さ |
生物学People In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | People In The Box | さあ 目を開けて僕を見て 今日から君は僕のもの 行こう 氷河期は始まったばかりだ 海の底を這いまわるニーチェ 飢えて剥きだしの心臓は 野蛮でとにかく気高いのさ そう 汚らわしいものは粛清さ 匙を投げて憤るフロイト 輝く目が僕を見返した |
天使の胃袋People In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | People In The Box | ドーベルマン ドーベルマン 廊下抜け 床を蹴って 手の鳴るほうへ駆けるニュース 今夜 誰が踊らされるのさ ボイラー室 ボイラー室 追手は遂には追い抜いて 走る暗闇を伸びるレール 君が服を脱ぐ 輝く眼で 何も欲しくないけど物足りない ってさ、君は僕みたいだね ファンファーレ ファンファーレ 胃袋はもういっぱい 粘膜の夢に溶けていたい だけど空席の王座へ飛ぶシュプレヒコール 僕らの欲望が吹き飛ばすパレード 何も欲しくないけど物足りない ってさ、君は僕みたいだね 電池が切れてしまった僕ら だから次の世界で息をするよ 息をするよ ふたりはいつでも泣かない子供 君は僕みたいだね 大丈夫 ってさ 傷をつけてあげるよ 君の傷口は動く 動く 体をねじって逃げる 逃げる ふたりで震えて 笑う 笑う もうすぐトンネルを抜けるよ 光り溢れ |
冷血と作法People In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | People In The Box | 埋め立て地を亀裂が走る 都市が歪む 放射能 黄砂 メーデー 放射網 黄砂 メーデー 改札は喘息を患っている 咳き込んでいる xとyとxとyとx xとyとxとyとx 君のことを耳にしたよ 元気でやってるみたいだね だけど みんなの知っている君じゃなかった 頭の外れた馬が叫ぶ 蹄 打ち下ろし 広場に集る警察 広場に集る警察 君のことを耳にしたよ 元気でやってるみたいだね だけど みんなの知っている君じゃなかった 記憶はコピー機のなかに まるで砂埃みたいだよ もう ここには既に 体はない 翼だけが空を飛ぶ 亀裂が走る 亀裂が走る 放射能 黄砂 メーデー 君のことを耳にしたよ 元気でやってるみたいだね だけど みんなの知っている君じゃなかった 記憶はコピー機のなかに まるで砂埃みたいだよ もう ここには既に 体はない 翼だけが空を飛ぶ 血迷って 血迷って 遂には生まれ変われたのかな 今の君はきれいだった |
月曜日 / 無菌室People In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | People In The Box | 太陽のなかで愛されたら 君はもう生きれないかもしれない 木漏れ日模様に脈打った身体 青ざめた朝の路地裏で ワインを1滴垂らして 腐った香りで 地球を浸す 指を重ねて 地図をなぞって 僕ら世界をゆすった 飛行機は落ちて いまいましい神様は逃げ出したよ 誰かが口を滑らせて 僕らをおとしめたかもしれない それがどうしたっていうんだ! ちぎれたボタン 指を重ねて 地図をなぞって 僕ら世界をゆすった 船は水を吸って 取り乱す乗客を吐き出したよ 太陽がのしかかる やわらかに 君は進んで受け入れたよ その眼は僕の背後を見てた ―――ようこそ ここは舞台で女優が消えた場面さ フィルムは回った 逆さに 指を重ねて 地図をなぞって だけどそこには何もなくて 僕も行きたいよ 僕も行きたいよ 次の世界へ そこへ 君の好きな唄をうたう 唄をうたっている ずぶずぶずぶ 蝕んで 蝕んでいく 君の好きな唄をうたう 唄をうたっている ずぶずぶずぶ 蝕んで 蝕んでいく |
火曜日 / 空室People In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | People In The Box | はねかえるよ光 誰もいないキッチン 影を落とすクジラ テーブルの上に プロペラ 8月 食べかけのケーキ 乾いて割れたプール ある朝消えた 彼女は消えた 天気予報はずれ 記録を更新中 絶滅した記憶 反古されたアドバルーン 切りかけのカード 喪失のアート 121グラム ある朝消えた 彼女は消えた |
水曜日 / 密室People In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | People In The Box | 少年少女 迷いの庭で天国夢みる このクラブのリーダーは神ではないのさ 走れ 速く メリーゴーラウンド どこかへ連れて行くよ 遊ぼう 遊ぼう 目が回って叫ぶ! おもちゃの兵隊の影 みるみる僕らを追い越していく 誰も気付いていない 破れたリュックサックに蛇 大丈夫、もう からだの声に毒されているから 走れ 速く メリーゴーラウンド どこかへ連れて行くよ 遊ぼう 遊ぼう 今日が終わらぬように 密室の蝶みたいだよ 君の祈りは 立ちのぼり 急降下して 燃えて消えるのさ 密室の蝶みたいだよ 君の祈りは 青い空が先に目を逸らしたってさ 僕らは楽し過ぎたから 動けなくなった 僕らは楽し過ぎたから 戻れなくなった 走れ 速く メリーゴーラウンド どこかへ連れて行くよ 指で、口で、満たしたいよ 呼吸を! 密室の蝶みたいだよ 君の祈りは 立ちのぼり 急降下して 燃えて消えるのさ 密室の蝶みたいだよ 君の祈りは 立ちのぼり 急降下して 燃えて消えるのさ 溢れ出した 赤いミルク 白い血 いつか結婚しようね 僕らは楽し過ぎたから 動けなくなった 僕らは楽し過ぎたから 戻れなくなった 僕らは楽し過ぎたから 動けなくなった 僕らは楽し過ぎたから 戻れなくなった |
木曜日 / 寝室People In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | People In The Box | 寝苦しくて目覚めたら豚が僕に馬乗り まったく神様のしつけがなってないな 夜のテント飛び出すとまっぷたつのミラーボール 中身 僕は知っていた これ誰かの夢だ! 日付のないカレンダー うごめく前頭葉 波打ち際 上陸する歌手 メガホン越しにオペラを歌いだした 堅く目を瞑ったら開かずのプラネタリウム 星を喰って 豚に喰われ 一日が終わる これ誰かの夢だ! |
金曜日 / 集中治療室People In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | People In The Box | さあさあ、集まれ 亡くしたもののぜんぶ ここへ 足のもつれた役者の為に 幕が上がる Aは花を散らして Bは踊る CとDはどうやって夢を見る? オピウム? 君が呟く 舞台の隅で 脚本にはないセリフ 『死にたくなってしまったら そっと告げていいよ 少しだけなら葬ってあげる』 Aが服を脱いだら Bは舌を噛む CとD 白衣着て 患者を待っている 運び込まれたモナリザはベッドで泡を吹いている Aは花を散らして Bは踊る CとDはどうやって夢を見る? オピウム? 前髪を絡めて 血を流す みんなまとめて包帯で ミイラにしてしまえ めちゃくちゃにして、やろうよ めちゃくちゃにして、やろうよ めちゃくちゃにして、あげるよ 翌朝 報いの雨に濡れて ダメになった絵のなかの国で 僕らの困ったように笑う姿は 溶けていったよ 消えていくよ |
土曜日 / 待合室People In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | People In The Box | 朝、蒸気のような雨が吹きつけて 通りは輝きだした 目の褪せたサイコロを振って 思い出の街を行く 光の駅のホームで 僕は始発を待った 寝て起きると そこに君がいたらいいな 足音は溶けていく 色の消えた空に もし明日が来るのなら とても悲しいな もう、やめようよ って袖を引いてくれて ありがとう でも あと一錠だけ でも あと一錠だけ そびえ立つ陽炎 顔の無い人々 君のパパが建てた高いビル すべての窓がふたりをのぞき込んで いっせーのーせっ で歌い始めた 君はカメラを逆さに構え自分に向けた 何が見える? 誰かと目が合って離れない 口を開けて 君の宇宙を見せて ほらね 言葉のない秘密は とてもやかましい 世界中に電話 鳴る 僕は、君は、出ない 音もなく 雨が降る 僕はいない 君はいない |
日曜日 / 浴室People In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | People In The Box | 「水滴のようだよ もういまにも落ちようとしてる」 「君がいる闇へ手を伸ばして かきまわしたい」 「交じりあえたね でもこれ以上は 現れては消える」 「僕は待ちきれるかな」 「もういいかい?」 「まだだよ、まだだよ」 「僕はずるをして もう一回生きてしまって」 「許せないよ 二度とは」 「またやってしまったんだ」 「震えをとめて」 「サンクトペテルブルグで 浴室で」 「この狭いバスタブが世界を蹂躙する」 「もういいかい?」 「まだだよ、まだだよ」 「君は嘘をついて もう一回死んでしまって」 「わからないよ 二度とは」 「もう一回触れたかった」 「現れては消える」 「もういいかい?」 「まだだよ、まだだよ」 「僕はずるをして もう一回生きてしまって」 「許せないよ だから、 わたしのいのちを、君にあげる パンケーキみたいに切り分けて、あげる」 |
完璧な庭People In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | | 軋む階段 振り返る 謎を君はすべて解いた ポテトの皮いっぱいのバケツ 欲望が顔をのぞかせてるけど 君の声はこの世界にない 子供らは森に消える 毎日、たった少し、ふたりは死んでいく 今日はもっと知りたいな 汚れた君のことを めざめ、眠りを繰り返すだけ そんなふたりの生態系 暇つぶしの公開処刑 水を打ったような静けさ ようこそ亡霊の紳士淑女たち 欲望が顔をのぞかせてるけど 朝の鳥は世の終わりに鳴く 毎日、たった少し、ふたりは死んでいく 今日はもっと知りたいな 汚れた君のことを めざめ、眠りを繰り返すだけ そんなふたりの生態系 ほどいた糸のかわりに紡がれる 長い内臓や言葉 呼吸もぜんぷ ほおらね 地球が震えて歌い出した 振るい落とされてしまいたいな 君の声はこの世界に 毎日、たった少し、ふたりは死んでいく 今日はもっと知りたいな 汚れた君のことを 毎日、たった少し、ふたりは死んでいく あの狂った夏休みの君は もう既に壁の向こうで 意思を固めた 僕はドアを叩いた |
海抜0mPeople In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | | 誰だっけ 水のなか静かに笑っているのは 忘れていくこと 息を繋いで 痛みの無い世界に僕は住んでいたんだ 流れる血液は下水道へ 溢れる水槽を眺めていたんだじっと 沈んだ影ひとつ泡をはいた 存在はスプーンの上 スープのなかで笑った 全部は食べきれないかも もう一度そこに行きたい、だけ もう一度そこに行きたい、だけ もう一度そこに行きたい 居させて君の街に 君が片足で渡る大きな橋 僕は背中を曲げて見上げた 支えきれないし 降り止まない 肉眼で見えない美 今度は許されないのかな もう一度そこに行きたい、だけ もう一度そこに行きたい、だけ もう一度そこに行きたい 居させて君の街に 流れる僕ら 地形に沿って 次は南半球でおちあおう 今度は許されないから もう一度そこに行きたい、だけ もう一度そこに行きたい、だけ もう一度そこに行きたい 居させて君の街に |
レントゲンPeople In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | | 朝焼けがいつも投げかけるエックスレイ 僕は一瞬だけいないはずの存在になる さあ虐殺のスタートだ 部屋を跳び出して行け 君が着飾った 晴れた屋上で 影が揺れていた 巨大な弧を描いて スカートの隙間から 飛行機が飛び立った ここから見下ろす鳥の群れ プールはただ脈打ち、ひるがえる 耳栓を外したら 大きな音の秒針にステップを 白昼夢が続きますように 白昼夢が続きますように すれ違うベビーカーでまた会おうぜ 花粉を吐き出す植物のようだ 人の叫び声 僕は黙り込む あの懐かしいスモッグだ ここは希望の国 ここはとても広い霊安室 白く目映い海のようだ 終わりかな?はじまりだよ こうして僕ら生れ変わるんだ 白昼夢が続きますように 白昼夢が続きますように すれ違うベビーカーでまた会おうぜ |
月曜日消失People In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | | 世界でいちばん静かなSOS 長距離電話 遠い街を震わせてる 国道は白い粉にまみれてる 君は今まで何度死んでは生き返ったの? 排水溝のなかラクダに乗って 絶望した君に会いに行こう 開きっぱなしだった君の眼 夜が更けたまま明けぬ日曜日 毛布のなか野蛮な声がしてる 緊急事態SOS 逮捕者がでたサーカスで 君はたった一夜にして 炎の上を歩いた 排水溝のなかラクダに乗って 絶望した君に会いに行こう 勉強しなさいってママが言った 深い場所までは声は届かない 君の合図でミュージックスタート 夜が牙を剥く それは巨大な椅子取りゲーム 君はたった一夜にして 別人になった |
昏睡クラブPeople In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | | 誰かが同時に存在してるって エベレストは神の見張り台さ 窓からぶら下がった 跳ねるトゥシューズ バレリーナはいない あの衛星から星は逃げ惑った 三日月のような目をしたスパイさ 窓からぶら下がった 跳ねるトゥシューズ バレリーナはいない 各フロアの監視カメラが同時にとらえる 誰もが気付いてはいない 灯りが落ちる 100個の目覚まし時計 君は眠り続ける 僕はひとつひとつ アラームを解除していく 100個の目覚まし時計 君は眠り続ける マネキンのように 耳鳴りのなかで 鉛筆と消しゴムの追いかけっこ 欲望の樹は枯れることは無い 窓からぶら下がった 跳ねるトゥシューズ バレリーナはいない 100個の目覚まし時計 君は眠り続ける 僕はひとつひとつ アラームを解除していく 100個の目覚まし時計 君は眠り続ける マネキンのように 耳鳴りのなかで 僕はそれに触れる |
ヨーロッパPeople In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | | 君は両手を床につけた 居間の吹き抜けの10:00AM 革命に揺れるシチューの鍋 こんにちは 僕のいびつなひと 砂の上 浮かんでいるのは 白い背中 やがて世界が君のスカートに のみこまれる日を待っているのさ 君は両手を床につけた 暴動に荒れるチョコレート中毒 こんにちは 僕のいびつなひと 砂の上 浮かんでいるのは 白い背中 やがて世界が君のスカートに のみこまれる日を待っているのさ |
見えない警察のためのPeople In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | People In The Box | 行列は続いた 青空を背負って 晴れた日僕らは滅茶苦茶なことをする 大きく渦巻く自転車置き場の海 口笛吹こうジェリービーン 大通りへ 相変わらずの点滅が刺さる 近所の薬局で洗剤買って それから僕はどうしたっけ 出口は君が盗んで口に隠した 僕に見つからないように 落下するアンテナ 休日の傍観者 市場に漂う消毒液の香り 破壊が始まる3秒前の笑顔 口笛吹こうジェリービーン 踊ろうね 相変わらずの点滅が刺さる 近所の薬局で洗剤買って それから僕はどうしたっけ 出口は君が盗んで口に隠した 僕に見つからないように ある朝 目醒めて 僕は重力をなくした 少し浮かぶ 君がホテルの窓から見上げて笑う もう世界は逃しはしない 探し物みつからない 踊ろうね それから僕はどうしたっけ 出口は君が盗んで口に隠した 僕に見つからないように 大丈夫さ 大丈夫さ 大丈夫さ 逃げられない |
She Hates DecemberPeople In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | | 早すぎる夜明けの訪れ 凍りついた もたらされぬ救い 残虐な朝の光 無防備にも晒されて 秘密は暴かれていく 泥も水も混ざり こぼれるだけ 壊したくない?壊したい? 棺 白い床が回る She Hates December 月が消えたら僕らだ 満ちて 欠けて 擦り切れるのは 鳥の形相した彼女は屋上で 扉の音聞いて 弾かれるように跳んだ ああ! ただの夢だよ 決して終わらぬ夢だよ 足を踏み鳴らすエコー 壊したくない?壊したい? 棺 白い床が回る She Hates December 月が消えたら僕らだ 白く 汚れ 擦り切れるのは 忘れられた朝だ 壊したくない?壊したい? 棺 白い床が回る She Hates December 月が消えたら僕らだ |
サイレンPeople In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | | みんな生きるのが好き? 死んだことないから 彼女は3度目の手紙を書いた 花束に頭を突っ込んだまま 手をつないでどこへ行こうか 2つの眼差しは僕を越えて 週が変わり 頬で靴音が響く なりすましてるんだ みんな知ってるかな 知らないかな 知ってるかな 楽しみで震えてしまう 妄想にしたって僕は居ないな 街を通り抜けるこの体が 渋滞を掻き乱している (So So Cold Breeze) 踊ってみたいね サイレン鳴らして みんな振り向くかな 行き交う肩 誰も君に気付いていない 空は低く 街に吹き荒れる 腐敗の季節 君は君ではいられなくなる (So So Cold Breeze) 消防士 水の精霊に祈りを捧ぐ 公衆トイレの床は冷たい 氷のようだ 赤い炎が飛び火する |
鍵盤のない、People In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | | 風は頭上かすめ ゆらり 海藻の様な 子供の手をすり抜けて ガソリンスタンドなぎ倒し 君はウサギの仮面 鼻 ひくひく動かして どろり 緑の海の 淀んだ匂いを嗅いだ 空腹だ 林檎を齧ろう そして横たわり さあ眠れ 瞬きは通りを抜けて ラジオが流れていた 僕らは横たわった 子供の手は空に伸び 二度目の風を待つ 息苦しいね ここは 完璧なものだらけで レーゾンデトゥールとか言葉とか 急にわからなくなるね 不服だ 死を叫ぼう そして 栓を抜け さあ眠れ 瞬きは通りを抜けて 僕は 街のかかとに住んでいる いつも前触れもなく ゆっくりと倒れていく 切られた肉の匂い 崖を旋回する鳥 雲は絶えず姿を変える もう恐れなくていいよ 君には眠りが訪れる 夢は 見ない 君の心は鍵盤のようにバラバラになってしまったからね |
始まりの国People In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | | 架空の国境を跨ごうとしている まばたき忘れ 呼吸忘れ また振り出しに戻った 扉から細く漏れる光 偶然が重なり続ける街 煉瓦のように積まれる 思想を溶かしてみたい 天才だらけの庭 僕はもう生きてはいないかもしれない 眩さに驚き目を開いたまま 若い哲学者の口を ガムテープでぐるぐる巻きに 開いたページ破ってしまえ それは未来からの手紙 君はもう生きてはいないかもしれない 住み慣れた街の亡霊に取り憑かれて 行こうかな 戻ろうかな いっそ踊ろうかな 僕ら自由さ 抜け出して この永い熱病からもう 誰もいなくなって 気配だけがざわついている |
水面上のアリアPeople In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | | 水は夜 飛沫上げる聞こえる音 暗いプール人影ひとつ見下ろしている 沈んでいく水のなか 眠っている君と目があった 家の屋根が見えるかな 心配ないさ 夜は僕の背中にある カウチのそば流血の痕 沈んでいく水のなか 眠っている君と目があった 家の屋根が見えるかな 今 2階の窓が開く 僕はもういないものとして生きていた もう既にいないものとして生きていた 君はそう手を伸ばして揺れていた 水面を越えてしまってはダメだ 沈んでいく水のなか 眠っている君と目があった 家の屋根が見えるかな 星が眩しい 今 2階の窓が開く 僕はもういないものとして生きていた もう既にいないものとして生きていた 君はそう手を伸ばして揺れていた 水面を越えてしまってはダメだ |
犬猫芝居People In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | | 君は証言台に立つ すれ違う瞬間、目があった 世界が始まってから 幾つ目かの革命の昼 地球に煙草を押しつけて 光にまみれて言った 「もっと手を汚して、もっと!」 そうさ、僕ら共犯者さ 君は痛いのが好き? 僕は汚すのが好き 生きたまま死んだふたりに 僕はなってみたい 頭のなか揺らめく星また消えそうだ 僕は孤独な国の孤独な街の預言者だった 誰も聞こうとはしない 沈黙の壁を固めてる 君は痛いのが好き? 僕は汚すのが好き 生きたまま死んだふたりに 僕はなってみたい 舞台の上ふたつに分れてまた演じてみたい また演じてみたい ほんの数秒でみるみる弱って 虫の息になることもある でもそれも今夜までさ てもそれも今夜までさ 君は痛いのが好き? 僕は汚すのが好き 生きたまま死んだふたりに 僕はなってみたい 舞台の上ふたつに分れてまた演じてみたい 君は笑うのが好き 口を塞がれた ああ |
バースデイPeople In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | | 吸い込む空気の秘密を 君は探っている 犬のように 誰もが忘れてしまった小さな呪文を僕は聴いた 赤ん坊の数学者 徹底的に神が嫌い 疑っていいよ 疑っていいよ あのネズミのおばけみたいに 「1、2、3、4、5、6、7」 オーケストラ、騒げ 今日は君のバースデイ 独立記念日も一緒に バイオリン、コントラバス、チェロ、ティンパニ、ホルン 血が流れた 鳴るよ トランペット 外でみんなが怒っている 傘をさす妄信者 奴らの目はただの鏡 そらしていいよ そらしていいよ ぜんぶ夢さ おばけみたいに 「1、2、3、4、5、6、7」 オーケストラ、騒げ 今日は君のバースデイ 独立記念日も一緒に バイオリン、コントラバス、チェロ、ティンパニ、ホルン 血が流れた 鳴るよ トランペット 「1、2、3、4、5、6、7」 オーケストラ、騒げ 今日は君のバースデイ 独立記念日も一緒に バイオリン、コントラバス、チェロ、ティンパニ、ホルン 血が流れた 鳴るよ トランペット |
失業クイーンPeople In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | | 棺の並んだ廊下に君はいた 近くて遠いところに立っていた 見て ただまっすぐに 彼女の眼を 聴いて 憎しみの芽が奏でる音を 水浸しにしてしまおうぜ このむせ返る太陽の街 強いて もうばか騒ぎは止めるように 跪いて 蟻の兵隊のお出ましだ 僕らは出来るだけ長く 息止めていたよ どちらが先に気絶するだろうね あんなに世界を呪っても 虚しいだけだった君は どこへいったんだ? 遊びにおいでよ 君が仕事を辞めたビルにさ 僕だけは歓迎するよ 地図を塗りつぶす君を 見て ただまっすぐに 彼女の眼を 跪いて 蟻の兵隊のお出ましだ 僕らは出来るだけ長く 息止めていたよ どちらが先に気絶するだろうね あんなに世界を呪っても 虚しいだけだった君は もう手を汚さなくていいよ 見て ただまっすぐに 彼女の眼を 聴いて 憎しみの芽が奏でる音を 跪いて 蟻の兵隊のお出ましだ 僕らは出来るだけ長く 息止めていたよ どちらが先に気絶するだろうね あんなに世界を呪っても 虚しいだけだった君は もう手を汚さなくていいよ |
泥の中の生活People In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | | Good Morning, My Frog Queen. その温かい泥のなかから見上げるもの なにか激しい衝撃を待ってる 今なら光は警棒のように掴めそうだ Good Afternoon, My Frog Queen. 一日中手紙の返事を待ち続ける 隣の国の空は真っ赤に染まった 「なにもかもうまくいくわ」って歌を歌った Good Evening, My Frog Queen. スポーツ好きの数学者と居酒屋で会った 今夜は勉強しようか 1+1+1+1+1… Good Night. |
6月の空を照らすPeople In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | | 雲の上 猫 唸りを上げていた 粘土の空 うごめいた 誰も耳を貸そうとはしないよ ラジオをつけ家を出る 新宿は大きな布に覆われて 緊急事態 僕ら逃げられない 雨が降っていた ネジが緩んだようなんだ 君は待っていた 僕は驚いた 密かに 神々しく、柔らかく、まんまるな死が もたらされるならば もうひとつだけ頭が欲しくなったんだ はじまりも終わりも同じ事だ 雨が降っていた ネジが緩んだようなんだ 君は待っていた 僕は吐きそうだ 光を空へ あのマンホールの向こうへ ねじれた傘のなかのメリーゴーランド 雨が降っていた ネジが緩んだようなんだ 君は待っていた 僕は吐きそうだ 光を空ヘ ネジが緩んだようなんだ 僕の背後に誰がいるか教えて? そっと |
一度だけPeople In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | | 少女は何も失わないさ 雲の上ステップ踏んで 296号線はいつも渋滞 空に交わるアーチを描いた 誰かの笑い声が 滑り出して伝染病そんな夢を見てた 「なんてことしたんだ君は」 冷蔵庫が呟いた 僕らは一度だけ ハレルヤ、ハレルヤ たった一度だけ 僕は戦争の本を読んだ 取り憑かれてしまった 残酷な 残虐な部屋に立って このクリーム色の壁紙にはどれだけの言葉が 染み込んでいるんだろう 「なんてことしたんだ君は」 洗濯機が呟いた 僕らは一度だけ ハレルヤ、ハレルヤ たった一度だけ 「なんてことしたんだ君は」 ガスコンロが呟いた 誕生日おめでとう ハレルヤ、ハレルヤ たった一度だけ ハレルヤ、ハレルヤ たった一度だけ |
ペーパートリップPeople In The Box | People In The Box | Hatano | People In The Box | | 風が部屋に吹き荒れる まるで嵐 声を巻き上げ 目には見えないその強盗は 夜の庭に降りた はやく君を見つけなくては 渡り廊下行き交う亡霊 街に飛び散る光と闇 誰もいなくなってしまったら 君の肌に針を立てて 体のなか旅をするのさ 山を越え都市を抜け 虫歯の奥に潜む言葉 晴れた朝にモールス信号 僕ら鳥になったシーツの上 街に飛び散る光と闇 インクまみれの夢を見ようよ 空はなんて深い落とし穴だ 終わりのはじまりを見たいな 全部溶けてしまえばいいのに 1丁目から27丁目まで 街に飛び散る光と闇 インクまみれの夢を見ようよ 空はなんて深い落とし穴だ 終わりのはじまりを見たいな |