羅針

北北西に進路をとりて 頬打つ風に口笛乗せて
千年続く24時の旅へ 固く結んだ約束と靴ひも

葉は赤く沈み風に揺れ落ちる 晩秋の影足元に落ちる
磨いだ刀(とう)に当てる希望の光(こう) 黄砂の粒子で煌めいた

何度目の月を見たのだろう?
予定調和に流れる時は笑うように泣く
どれくらい歩いて来たのだろう?
傷口を癒す薬ばかり探し続けて

青くまぶしすぎる空の下で
落日が落とす僕の影が
羅針となりて明日への路を指す
その影に手を引かれまた歩き出す

靴ひもはほどけ始め
計算通りに組み立てられた街が笑う
自分らしさなんていまだ見つけられず
傷口ふさぐ手段だけを手に入れた

幾何学模様の様に鮮やかで複雑な絶望と希望
薄れゆく記憶が磁界で彷徨い
ようやく裸身の僕に辿り着く

紅くさびしすぎる空の下で
劣等感に染まるこの手で
ほどけた靴ひもを再び結び
微かな光へとまた歩き出す僕とラシン
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