ビニール傘

今でも大切にしているこの透明なビニール傘は
コンビニに売っている普通の傘だけど
初めて2人で遊んだ帰り急に降りだして買いに走った
あいにくか好都合か1つしかなかったんだ

肩寄せてさした小さな小さな傘 内緒にしてたけど僕の方は濡れていた
それでも嬉しかった君との距離が縮まって
嫌いだった雨の日さえ好きになってしまうほど

雨の降る中 透明だった傘は 真っ黒な色に変わる
街の光が雨粒を照らし 星が広がってるみたいだった

急いだ足で駅まで行って切符売り場で君は言ったね
「ここからは大丈夫1人で帰れる」と
渡そうとしたビニール傘を「それじゃあなたが濡れちゃうから」と
僕のポケットに吊るして手を振った

今度いつ会える? また電話してもいい? 言いかけたけれど結局言えなかった
情けない僕に無性に腹が立った いっそのこと雨にぬれて帰ろうと思うほど

雨の降る空 じっと見上げてたら 君からのメールが届いた
「楽しかった♪また遊ぼう☆」単純な僕は 傘を高く高く掲げた

まだ始まったばかりだけど こうして少しずつ
想い出を増やせたらな 君と一緒に

君を想うと 透明だった傘は キレイな緑に変わる
青に変わった信号が雨粒を照らし 四つ葉のクローバーみたいだ
どこにでもあるこのビニール傘も 特別なものに見える
またいつか君と一緒に歩けるかな? 次は手を繋ぎたいな
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