鳥はときどき

黄昏がほほを流れる
ガラスの電話ボックス
姿さえ見えない人に
彼女は背を向ける
持ってゆけない想い出が
カバンにすき間つくるから
歩くたび きっとカタカタ鳴るわ
時計じかけの愛のように

空をゆく鳥は時々
つばさを嘆くの
草のような とどまる強さが
ほしくて嘆くの
どこへでも行けるから
どこにも住めない

黒皮のアドレスノートの
そこだけちぎって
人波をつつむ空へと
とばす紙ヒコーキ
待つ人のいない旅なのに
いつか彼女は急ぎ足
引きずるように後ろに伸びた
影がヒールを重くする

空をゆく鳥は時々
つばさを嘆くの
草のような とどまる強さが
ほしくて嘆くの
どこへでも行けるから
どこにも住めない
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