Peaceを一本

あの娘はおかしな目をしてるの
きっとこの街にいられなくなるの

路地裏 この狭い路地裏が
死んだような午後 それを狙ってるの

汗に濡れたワンピースが早熟な背中にはりついて
帽子もない 傘もないまま あの娘は彼と逢ってたのよ

今言った事は忘れてね
作り話だと思ってね
それで私にPeaceをわけて
Peaceを一本わけてちょうだい

私はじっと覗いてたの
鍵盤を走る白くて細い指
醜い昆虫によく似てる
泡立ち騒ぎ立つ私の心臓

あの美しい薬指に全て盗まれてしまったのね
毛足の長いカーペットにこぼれるピアノとサンダルウッド

今言った事は忘れてね
作り話だと思ってね
それで私にPeaceをわけて
Peaceを一本わけてちょうだい

いつまでも沈まない太陽のせいで泣けもしないし
律儀な君のまなざしもこんな気分じゃ白々しい

今言ったことに火をつけて
灰になるまで見送ったら
それで私にPeaceをわけて
Peaceを一本わけてちょうだい
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