アナタノカナタ~Au temps des biscuits~

あなたを想い出すだけで どうしてこんなにも
穏やかに微笑みたくなるの?

乾いたあの音が響く暗闇の部屋
落ちてゆく眠り 心地よかった

甘い香りがしてた
夢かしら?夢じゃない
たしかに此処に ふたりでいた

永く 永い時間のほとり
過ぎ去りし年月は ただ朽ちてゆくけど
ぎゅっと うんと抱きすくめた 愛しい感触だけが
今もこの手に優しく残っている

あなたの彼方に佇む 失われた記憶
その記憶 訊けなかった言葉

はぐれないように手をつなぎ歩いた街で
喧騒に紛れ つないだ心

ねえもう寂しくないね
暗くない 怖くない
嘘だ。本当は寂しかった

廻り 廻る時間の果てで
幾千の哀しみと またよろこびを見た
きっと今は遠くにいる でもね呼んでくれたら
すぐに迎えに行くから 大丈夫よ

微睡みの中で あなたの名を呼ぶ
祈りによく似た 願いが届くなら
憶えていさせて 名もない夜のこと
懐かしくあたたかい子守唄のように

生まれ 生きて やがては消える
だからこそ美しく なんて残酷な世界

遠く 遠い時間のほとり
過ぎ去りし年月が ただ朽ちていっても
ぎゅっと うんと抱きすくめた そんな昔語りを
いつか聞かせてあげるわ Au temps des biscuits
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