片羽(カタハ)のコトリ

自覚と自戒の狭間に浮かぶ
この世は涯てない無間の火宅

意識と儀式の波間に潜む
この身は厭かない無辺の孤独

夜の底に灯る火は誘蛾灯
指先も見えはしない

本能も衝動も全ては格子の中
魂は紙きれよりも軽い

下界は灰色に澱んだ泥土
私は名前を放棄したコトリ

鳴かないコトリ
啼かないコトリ

唇は紅い柘榴の在り処
享楽は甘い欺瞞の棲み処

闇の淵に光るのは蜘蛛の糸
罪さえも癒えはしない

従属も逸楽も全ては砂の楼閣
束縛は細絹よりも脆い

鳥籠は酔うる虚構の楽土
私は片翼を放棄したコトリ

片羽のコトリ…
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