男 しぐれ酒

俺のかわりに 風が哭(な)く
駅裏暖簾の しぐれ酒
秋の匂いが 望郷の
遠い思い出 連れて来る
故里(くに)に忘れた 夢ひとつ

あてもないまま 酔いどれて
右から左へ 迷い酒
俺を気遣う 泣き顔が
どこか似ていた 妹に
涙こらえて ちどり足

胸に渦巻く 寂しさを
隠して呑み干す 男酒
北はもうすぐ 雪だろか
詫びて過去(むかし)を また悔やむ
明日を手探る 夜明け前
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