慕情の宿

瞳(ひとみ)に輝(かがや)く 千灯祭(せんとうさい)は
燃(も)えて儚(はかな)い 宵待(よいま)ち灯(あか)り
ひとり来たのを 悔(くや)んでいるの
あなたあなた恋(こい)しい 春木(はるき)の川に
揺(ゆ)れる面影(おもかげ) 赤沢(あかさわ)の宿(やど)

愛(いと)しさ憎(にく)さが この身(み)をせめる
琴路(ことじ)、瀬戸淵(せとうみ) 女の未練(みれん)
谷のせせらぎ 湯舟(ゆぶね)で聞けば
風に風に打たれる 湯川(ゆがわ)の雨が
肌(はだ)にしみます 西山(にしやま)の宿(やど)

湖畔(こはん)で占う ふたりの運命(さだめ)
明日(あす)の行方(ゆくえ)を 引(ひ)き寄(よ)せたくて
墨(すみ)の手紙を したためました
想(おも)い想(おも)い届(とど)けと 稲又川(いなまたがわ)に
文字(もじ)がにじんだ 雨畑(あめはた)の宿(やど)
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