屋根の向こうに

ひとりきり佇んでいた風の中
幸せの名前をそっと呼びました。

優しい嘘を付いて
きらきらと笑っていたい、いつも

ありあまる光が夏の空を満たしていた
本当は世界はいつも君の側にいた

きっと夢に届く
そんなほのかな眩しさ
ふいに顔を上げた
屋根の向こうに

数え歌減らして回す糸車
増えて行く見えないものを紡ぐから

透明な駅に立って
未来への汽笛に耳を澄ませ

夢の手を取って少しだけ行こうか
浮き立つ心を
白いマストに見立てて

そっと影は笑う
あんな遠くで微笑む
リラの花を揺らした
風の囁き

ありあまる光はいつも君の側にいた
本当はずっと前から君は知っていた

そっと振り向く雑踏
ふいに涙は優しく
夏の雫になって
屋根の向こうに
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