小楠公

菊水の旗 風に哭き
暮れゆく空に 杜鵑(とけん)鳴く
父子訣別の 駒止めし
桜井駅の 夕まぐれ
あゝ小楠公

まだうら若き 楠の
若葉に風は そよげども
父なき里に 母ときく
河内の秋の 小夜しぐれ
あゝ小楠公

落花も深き 吉野山
如意輪堂の 板壁に
かへらじものと 正行(まさつら)が
潰すもあはれ 歌がたみ
あゝ小楠公
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