七転八起

転んで転んで転んで 痛みを知った
痛い分だけ 優しくなれた
寒冬(まふゆ)の紀の川 水草だって
流れに揉(も)まれ 春を待つ
七転八起(しちてんはっき)で 負けるなと
野良着(のらぎ)姿の 母の顔

踏まれて踏まれて踏まれて 我慢に耐えて
耐えた分だけ 強くもなれた
古道(こどう)を彩(いろど)る 草花だって
岩間(いわ)の中から 芽を出して
七転八起(しちてんはっき)で たくましく
夕げ支度の 母の顔

泣かされ泣かされ泣かされ 悲しみ越えて
人を愛して 笑顔になれた
短い命を 真っ赤に染めて
紀州熊野の 赤とんぼ
七転八起(しちてんはっき)で 天高く
やさしく見守(みまも)る 母の顔
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