貴方のためのブルース

ナイト・クラブのけむりの中で
うたってるわたしのうつろな眼に
貴方が今夜も違う人と
腕組み交(か)わし笑いながら
はいってくるのが見えたが
今では恨(うら)みも涙もない

わたしにゃお金も暇もない
貴方を養う力はない
けれども貴方がほかの人を
いつものように嘘をついて
口説(くど)いて踊るそのとき
わたしは歌ってあげましょう
ああ……
真(まこと)しやかに聞こえる
恋のブルースうたうだけ
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