夫婦春秋

ついて来いとは 言わぬのに
だまってあとから ついて来た
俺が二十で お前が十九
さげた手鍋の その中にゃ
明日のめしさえ
なかったなァ お前

ぐちも涙も こぼさずに
貧乏おはこと 笑ってた
そんな強気の お前がいちど
やっと俺らに 陽がさした
あの日なみだを
こぼしたなァ お前

九尺二間が 振り出しで
胸つき八丁の 道ばかり
それが夫婦と 軽くは言うが
俺とお前で 苦労した
花は大事に
咲かそうなァ お前
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