任侠観音菩薩

男素肌に 観音菩薩
手前生まれは 浅草六区
餓鬼のころから 奥山育ち
見掛け通りの がさつな野郎で
親を泣かせた 親を泣かせた 罰当り

「懐かしいなァ、遊び馴れたこの境内、いまじゃ変り果てたこの姿、
勘弁してくれ、おっ母さん………」

情からんだ 観音菩薩
惚れちゃならない 仁義もあるさ
ままになるなら この手に抱いて
逢いたかったと 打明けたいが
義理という字が 義理という字が 邪魔をする

「お嬢さん………もう何んにも、おっしゃらないでおくんなさい………
こんな奴でも、せめて一度ぐらい、世間様のために命を張ります………
それじゃ、お達者で………」

男素肌の 観音菩薩
止めてくれるな いまさら無駄さ
やると定めたら 三社の氏子
馬鹿を承知で 出て行くからにゃ
どうせ覚悟は どうせ覚悟は 出来ている
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