屋台

愛想の足りないこの俺を
お前は健気(けなげ)に庇うのか
故意(わざ)とふざけて 羽目はずし
お客と笑う声がする
博多で 屋台を初めて十ヶ月(とつき)
この頃少し 慣れてきたけど
雪の雪の雪の降る 寒い冬の
水がお前には 冷たかろう

慣れない手つきで 串を焼く
無口なあなたについて行く
馬鹿がつくほど 正直で
上手(うま)く心を 騙(だま)せない
突然 会社を辞めて来たよと
ゴロンと横に なって眠った
好かん好かん好かん と思っても
そんなところに 惚れている

女がひとりで 酔い潰(つぶ)れ
別れた男を想うのか
人生舞台の 裏側に
人間(ひと)の真実(ほんと)の顔がある
ラーメン屋台の 湯気の中から
泣いて剥(はが)れた 化粧が見える
きっときっときっと来る 春の日が
笑って話せる 時が来る

きっときっときっと来る 春の日が
笑って話せる 時が来る
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