月詠ノ詩

残された色は
そっと水鏡に問う
'過ぎし思い出'は
幾度 季節が巡れば消えゆく

決して泡沫の夢に
終わる恋ではなかった

逢いたいと願う声は
遠い記憶を染めゆく
終焉(おわり)など知らなかった二人を
灯すように
これほどの痛みさえも
愛しいほど君を想う
今は未だ 夢現で泣きたい
滲む夜に…

同じ傷跡が
もしも刻まれたのなら
かえらぬ弱さも
二人は同じと信じたかった

触れる指先の熱は
君の想える誰かに…

徒(いたずら)に流れてゆく
'幼き日々'の契りよ
誰よりも君の瞼に居ると
思えたのに
降り頻る雨の音に
止(や)めぬ心糸解いて
唯 ひとり、ふたつを辿ってゆく
永い夜に…

逢いたいと願う声は
君の匂いや…全てを
「忘れたい」優しい嘘でさえも
壊してゆく
もう一度叶うのなら
重ねた月日を手繰って
永遠を 君と二人詠みたい
伝う愛に…
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