水鏡

から松を抜けると
人知れぬ小川のつづれ織り 琥珀の糸
薄氷(うすらい)にふれれば
音もなくひび割れ 青白い水の鏡

淋しい顔した少女が映るの
ねえ あなたって
きっと不幸に気に入られてる 可哀相な娘ね
そうね 私って
愛も見放す脇役みたい

硝子めく水面を
一粒の涙が打ちくだく水の鏡

蜜色の陽射しが
蒼ざめた木の葉の翳投げる道に独り
手のひらが切れそう
さやめきの冷たさ 生きるのがせつなくなる

淋しい顔した少女がさゝやく
ねえ 愛なんて
捨ててしまえば こんな苦しむ傷もいえるのに
でもね 自分には
嘘はつけない だませもしない

哀しみに耐えれば
あの人にいつかは届くはず水の鏡

淋しい顔した少女がさゝやく
ねえ 愛なんて
捨ててしまえば こんな苦しむ傷もいえるのに
でもね 自分には
嘘はつけない だませもしない

哀しみに耐えれば
あの人にいつかは届くはず水の鏡
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