わすれもの

ねえ、ほら雨が降っています もうじき雪になりそうです
ゆっくりと変わっていくもの
意識の隙間のできごと

きみはなんか寒そうだね 少しふるえているみたい
冷えた指先はそっとポケットに隠しておこうかな

窓ガラスに映ったふたり
ふいに目と目が合った
いつもは逸らしてばかりのその二重まぶた

忘れてゆくんだろう
色褪せてしまうくらいなら透明になりたいな
くだらない願い事叶うわけないから
まだここにいさせて

部屋の明かりをつけたら 外が暗くなっちゃうよね
きみはそんなこと言うけど 本当は気づいているんです

全部全部錯覚なんだ
ゆるやかに離れてく
近くて遠いふたりの距離だって

忘れてゆくんだろう
色褪せてしまうくらいなら透明になりたいな
くだらない願い事叶うわけないから
まだここにいさせて

忘れてしまうでしょう
それならいっそなかったことにしたいなんて
そんな願い事もし叶ったとして
ぼくは幸せなの?
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