残菊物語

義理と情(なさけ)の 両花道で
迷う心の 行き戻り
女形(おやま)悲しや 紅白粉(べにおしろい)に
交(まじ)る涙が 身にしみる

一筋に思う お徳のまごころに
ひかれて我も 名門を
捨てて浪花の 侘住居(わびずまい)
のれんの菊も 色あせて

恋のまぼろし 心に秘めて
あわれ浮世の 残り菊
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