PANDEMIC

闇闇たる暗澹たる 眼蓋の向こうへ
昏昏たる混沌たる ワタシは目覚める
手術台めいた寝台で
死せる百合の香に誘われて

凡凡たる洋洋たる 時は沮まれて
亂亂たり絢爛たり 夢は白々と
世界は密かに侵されて
不自由なき無菌の感染

まだ分かり合う意味などある?
だれもみんなひとりで
ただ自己だけ愛おしがって
キレイゴトのママゴト

触れる掴む結ぶ外す奪う握る抱き取る
この肉体はまだ器用に君の事捕らえても
頭ばかりずっと遠いところ離れていく

浪浪たる累累たる 溢れる人波
燦燦たれ惨憺たれ 逃げても果てなき
世界は静かに満ちていて
渇望なき不感の伝染

まだ愛し合う意味などある?
これ以上望むなら
なぜ罪深さ気づく前に
救われたいと願うの

話す叫ぶ歌う笑う黙る喚く唾棄する
こんな口は白痴の様に当てもなく饒舌で
だから心なんかどこにあるか忘れている

まだ繋がったつもりでいる?
ぜんぶみんなひとりよ
ただ自分だけ厭わしがって
エソラゴトのウツビョウ

触れる掴む結ぶ外す奪う握る抱き取る
この肉体はまだ器用に君の事捕らえても
汚す穢す犯す壊す倒す殺す滅ぼす
まだ互いにどんなことも為してしまうと分かる
きっとヒトがヒトで在ることさえ無くなっていく
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