風花の宿

雪の降る町が 似合う女でいてくれと
出発(たびだつ)そのとき 抱いたひと
引きとめたのに 情(つれ)ないね
恋はひと夜の 湯けむりですか
雪にもなれない 性(さが)ゆえに
夢も夢も消えます 風花(かざはな)の宿

雪の降る夜は 胸のちいさなほくろさえ
あの日のあなたを 恋しがる
寒くはないか 寄りなよと
髪をなでては 温もりくれた
信じる思いが 身をけずる
冬に冬に迷子(まいご)の 風花の宿

雪の降る町は 燃える情念(おもい)が積もります
命が紅々(あかあか) 悶(もだ)えます
焦がれて待って 冬いくつ
あなた夢みて うたたねすれば
明日(あした)はしあわせ くるような
ほほに ほほに冷たい 風花の宿
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