夕日は落ちて

荒野の涯に 日は落ちて
遥かまたゝく 一つ星
故郷棄てた 旅ゆえに
いとしの黒馬よ さみしかろ

七つの丘も 越えたれど
湖のほとりも さまよえど
朝霧夜霧 暮の鐘
やさしきものは 風ばかり

今日は落ちて たそがれを
今日もとぼとぼ 旅烏
恋しき君よ 思い出よ
いつの日幸福は めぐるやら

名もなき花も 青春を知り
山の小鳥も 歌を知る
何ゆえ悲し 人の子は
荒野の涯の 雲を見る

休めよ黒馬よ 今しばし
月が出たとて 匂うとて
恋しの人が 待つじゃなし
頼むはせめて そちひとり
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