サヨナラの手前

サヨナラの季節に つんと張り詰めた朝の
空気を吸い込んで歩いた

もっと哀しくってさ もっと泣くかと思ったよ
いつもの、でもどこかやっぱ 違う朝

最後なんて言うから いとおしくて全てが
よく見てこなかった 通学路でさえ
「こんな景色だったっけな」
笑う声に 少し 実感する
なくすのは 戻らない今

僕らはまだわからない 胸を焦がす青春を
映画のような場面なんてなかった
ほんとはね まだ 探していたいよ

サヨナラの手前で 僕らは優しくなれる
些細なことに 目を瞑って

何が嫌だったんだろう
誰に怒っていたんだろう
日常に理由などないと気付く

心に空いた穴に 春風が通り過ぎて
いつかの傷口 ひりひり 痛むなぁ
明後日には 消えるよ
またなんでもないことに必死になる
けどね まだ 明日は だめかな

僕らはまだわからない
過ぎた時間(とき)の行く先も
見飽きた顔 おどけて 手を振って
後になって こみ上げてくるんだ

今日 手放すものに たぶん
特別など ひとつもない
ただ、少しずつ思い出せなくなる破片
惜しいよなって 思ってたくて…

僕らはまだわからない 胸を焦がす青春を
でも思うの いつか立ち止まるとき
振り返れば 見えるよ

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