しぐれ川

春にそむいて しぐれ川
ふたりこぎ出す 情け舟
抜いた指輪を 川面(かわも)に投げて
これでわたしは あなたのものと
すがるおまえを 離しはしない

着のみ着のまま ほつれ髪(げ)に
せめてひとひら 花吹雪
明日の夢さえ 見えないけれど
こころ通(かよ)わす ぬくもりあれば
生きて行(ゆ)けるとほほえむおまえ

にごり川でも いつの日か
陽光(ひかり)きらめく 海に出る
死ぬも生きるも ふたりと決めた
恋のさだめが 指さすままに
ゆれて流れる あゝしぐれ川
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