ストリートシンガー

あなたの歌のうまさにくらべて
お客が少な過ぎる
それも小さな子供が二人
ふしぎな顔で見上げてた

あの頃は 下手だった
心がなかった
生意気で わがままで
誠意がなかった

ストリート・シンガー
あなたを街で見かけた
十八年も昔の歌を
ギター一つで歌っていた

だけど 今 街の角
大きな銀行の先
心が流れる
心が流れる

時代の中で あなたももまれて
いくらか老けて見える
獣(けもの)みたいな匂いが消えて
やさしい顔になっていた

あの頃は いつだって
喧嘩をしていた
人間を馬鹿にして
つめたく歌った

ストリート・シンガー
たしかにそれは風景
まぶしい午後の 光を浴びて
古びたギターを 抱きしめてた

だけど 今 街の角
ペタリと石段に座り
心を伝える
心を伝える
×