鳥兎怱怱

瞼に浮かべる過ぎ去った日々は
色褪せた花を滴る露の間

流離う命の歩む小道は
水面に揺蕩う枯葉の行方よ

解けた裾から思い出が
ハラホロヒレハレ零れて

流れる時の隙間に引き摺り落ちた侭
何時かは忘れられてしまうなら

言の葉を紡ぎ描くよ
例えばこの刹那を

憶えていられるのかな

真っ赤な夕陽が
セピアに染まってく

真っ青な空が
モノクロに染まってく

目の前を見ればほら
色めく時代其処に在って

轍をなぞっても無駄
仮初めの別時空世界

忽ち僅かな思い出が
ハラホロヒレハレ

時の明かりが照らし開いた花
何時かは萎れ朽ちてしまうから

言の葉を紡ぎ描くが
描いた事でさえも
忘れてしまうのだから
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