風待ち

手紙は何度も書いた
ばってん ひとつも出した事はなか
嫌な事のあったときに
ただ 愚痴ば書いてみただけさ

あんたの事は気にしとるけど
便りの無いのは良か便り
私は変わらず適当やけど
それなりに頑張って生きとる

あんたはもう忘れたやろうけど
今日は風頭山のハタ揚げ

電話も何度かかけた
ばってん 一度鳴らしてから 切った
たまに寂しゅうなったときだけ
あんたとつながっとる気がして

あれから5つ目の春が来て
久しぶりにあんたの声聞いた
「元気にしとる」と言うたけど
私にまで嘘はつかんで良いとに

たまには長崎(ここ)に帰っておいで
彦山の上に三日月

あんたはどこまでも高い空を
目指して飛んで行け
帰りたくても帰れんような
そんな大げさな町じゃないでしょう?

いつでも同じ風の吹いとる
長崎(ここ)はあんたの生まれた町やけん

長崎(ここ)はあんんたの生まれた町やけん
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