兄弟船

波の谷間に 命の花が
ふたつ並んで 咲いている
兄弟船は 親父のかたみ
型は古いが しけにはつよい
おれと兄貴のヨ 夢の揺り籠さ

陸(おか)に上って 酒のむときは
いつもはりあう 恋仇
けれども沖の 漁場に着けば
やけに気の合う 兄弟鴎
力合わせてヨ 網を捲きあげる

たったひとりの おふくろさんに
楽な暮らしを させたくて
兄弟船は 真冬の海へ
雪の簾(すだれ)をくぐって進む
熱いこの血はヨ おやじゆずりだぜ
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