北へ

名もない港に桃の花は咲けど
旅の町にはやすらぎはないさ
お前と別れたむなしさ抱いて
俺は明日もまた北へ流れる

お前のやさしさ酒に浮かべひとり
遠い霧笛にあの夜をさがす
愛していりゃこそつれなくしたが
今もこの胸でゆれるほほえみ

男はふり向き暗い空を見上げ
つけた煙草にふるさとを想う
真冬の浜辺に傷あと埋め
夢はあきらめて北へ流れる
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