りんご飴

夕方五時のチャイムが鳴り響く部屋オレンジ色
はにかむあなたを一人占めしてる
祭り囃子が遠くで僕らを手招きしてる
行きましょうかなんて不慣れに照れ隠す
夜を彩り賑わう夏はざわつく胸の奥

提灯に頬を染めて
りんご飴を頬張ってる
こんなに似合うりんご飴も笑みもない
二荒山神社の奥
暗がりに力を借りて
怖がるあなたの手を初めて握る

あなたは僕の言葉を待ってる
僕はあなたの言葉を待っている

最高感度のフィルムも写せない
あなたの柔らかい体温 匂い 愛しさ
誰にも聞こえない鼓動が時間を止める
重ねる唇に残した 写せない今を

りんご飴の味がするって笑う
制服姿のセピア色の声
甘酸っぱい時間が溶けていく
もうもったいないから戻せなくていい

誰にも見えない写せない瞬間が
僕だけの目に写る 身体中記憶される

最高感度のフィルムも写せない
あなたの柔らかい体温 匂い 愛しさ
誰にも聞こえない鼓動が時間を止める
重ねる唇に残した 写せないあなたを
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