アタラクシア、そして対峙する自己

いつかみんな忘れてゆく
積んだ石は転がってゆく

始めにありき空は空でなく
お終いにある無が無に帰する

あといくつ傷負い
あとなにを失い
躰という匣に
透明な静けさは
満ちてゆくのかしら

もういちど出会って
もういちど愛して
その奥に隠れた
孤独という正体を
見ないふりをしよう

やがてみんな忘れられる
落ちた石は風に毀れ

閉ざされる時まだ遠き死よ
お終いにくる夜が夜に帰する

きっとまた生まれて
そしてまた始まる
心という匣に
密やかな安らぎは
満ちてゆくのかしら

もういちど出会って
もういちど愛して
その奥に踊れる
孤独という影絵さえ
踏んだふりでいよう

あといくつ傷負い
あとなにを失い
この場処は美しい
ただ青い世界へと
戻ってゆくのかしら
×