流れ星挽歌

あんたおめでとう あの娘と結婚するそうね
どうりで近頃 変だと思ってたわ
あたしが寝た頃に いつでも帰って来るようだし
お金も派手に使ってるようじゃない
皮肉に聞こえたら ごめんなさい
いつかはこうなる 定めなの
あんたが幸せだったら あたし嬉しいの

あんた憶えてる 二人が始めて会ったのは
橋の袂(たもと)の いっぱい飲み屋だったわ
お互い淋しいもん同志で 心が触れ合って
二人でたくさん とっくりを並べたわ
そのあとメロメロに 酔っぱらって
気がつきゃ駅裏 安ホテル
あの日は星降るような いい晩だった

あの娘はあたしより はるかに器量のいい娘だし
あんたの可愛い 奥さんになるでしょう
早く人並の幸せつかんで欲しいのよ
あたしと一緒じゃろくなことありゃしない
みっつもあんたより 年上だから
余計な心配 しないでね
あたしは星降る街の ひとり流れ星
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