能登の海鳥

かわいがられた 思い出だけを
抱いて別れる 七尾の港
能登の海鳥 啼(な)かずにおくれ
啼けば出船が 辛(つら)いじゃないか

沖は荒海 男の胸に
未練いうなと ぶつかる飛沫(しぶき)
能登の島山 さよならさらば
せめて心で 呼ぼうじゃないか

深い情けの 夜霧に濡(ぬ)れて
泊まり重ねた 七尾の港
能登の海鳥 追わずにおくれ
またのあう日を 待とうじゃないか
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