まだ30代の女

まだ30代の女のココロとカラダには、
あたらしい愛や衝動がうずいて いた。

まだ30代の女は、証明、がほしかった。
まだじぶんがキレイだとおもえる、コトバが。

なんぎや、ほんまに。
なんぎや、ほんまに。

まだ30代の女は、恋ゆえに、すでに、
苦しみや嫌悪を通り越せないで いた。

何度、この言葉をカラダがつぶやいたことだろう。
何度、この言葉をカラダがつぶやいたことだろう。

“なんぎや、ほんまに。”
“なんぎや、ほんまに。”

でも30代の女は識るすべも なかった。
あぶなげな愛や衝動に飛びこんで いた。

まだ30代の女は、アリバイが欲しかった。
まだ自分が女だと思える時間(とき)が。

なんぎや、ほんまに。
なんぎや、ほんまに。

なんぎや、ほんまに。
なんぎや、ほんまに。

まだ30代の女は、知るすべもなかった。
やがて40を越えたとき、はじめて、識った。
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