こんな獣道の真ん中に立っていた

幾通りもの取捨選択で 成り立っているこの今に
本音の底では 幾つかの後悔があります
本当にこれで良かったのかな 迷い込んだ路地裏の先
片目潰した猫が 油断なくこちら睨み言う

「何が正解かなんて無い世界で 何を信じて生きるかは
君がその手の尺度で決めるんだよ 死ぬまで」

何度も何度も 私が擦り減るから
次を選ぶことに もう疲れてしまったよ
道など探さず 何処かへ消える君を
羨ましく思う 自分が恥ずかしい

振り返れば千錯万綜 だから引き返す必要もない
明日も見るな 今だけ生きろと
自分に言い聞かせてきた

私がいるのは今だけよ 過去にも未来にもいないのに
引き戻される この傷ついた心の在処は何処?

あの日あの時 自分で選んだ道
心をないがしろにした事さえ 忘れていた
走って走って 逃げるように進んだ今日を
泣き崩すように 茜の空が滲む

路地裏の猫はきっと私に こう告げたかったのだろう
「傷つく自分を救えるのは君だけだ 前を向け」

何度も何度も 私が擦り減っても
残っている嗅覚で 明日を掻き分けていこう
道など探さず 何処かへ消えた君を
見送る私もまた こんな獣道の
真ん中に立っていた
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