天巡:終わりにしてその始まり
許されない
命がある
そう 世界が存在を拒むなら
天の巡(めぐり)に
抗ってでも
生きていこうと誓いながら
二人だけ 在るように
「ある日、リフルは病に倒れる。
村で孤立していた彼女に手を差し伸べる者は----」
味方など
何処にも居ない
呪われている
その命の全ては穢れ
命の重さに
差などない筈なのに
医者でさえその命を
護ろうとはしない
私独りにできることなんて----
震える両の手をただ胸で組み合わせて
あなたに乞うばかり
天よ聞け
慈悲があるなら
呪いなど知らない
この子の命に
庇護のあるようにと
天よ聞け
信じた全て
あの子の分までさえ
私がどうか背負いますからと
虚空に消える
儚い祈り
それでも今日も跪く少女は健気に
次第に募る
疑念が薄黒く
神というまやかしだけ
それでも変えられない
弱弱しくも笑うその顔に
今日も笑いかける
世界が害さぬよう
護ってあげたい
天よ聞け
祈りよ届け
吹いて飛ぶような命
それでもけして消させなどしないと
天よ聞け
ただ一心に
何のための命か
ここで消える運命になどないと
「何の役にも立たない祈り。
人一人さえ救うことのできぬ神--リディアは力なく頭を垂れる」
「ありがとう、でももういいんだよ。
……私はね、最初から産まれてこなければよかったんだよ」
「そんなはず……無い。そんなこと、あっていいはずが無い。
これが全部神の悪戯だなんて。そんなの、絶対認めない」
「リディア。傍にいてくれて、ありがとう----」
許されない
命がある
そう 世界が存在を拒むなら
私こそが
世界だったなら
この子を許すことができただろうか
天よ聞け
無価値な祈り
唾棄すべき幻想
こんな世界は決して認めないと
人よ聞け
無窮の誓い
永久に傍にいるため
この命さえ手放すその刹那
言葉にならぬ
雷鳴にも似た
不可視なる衝撃
声が聞こえる
語りかけるは
「お前こそ そう、相応しい」
「それは祝福か、あるいは呪いなのか。
少女(リディア)から広がり、立ち上りゆく無数の影。
そしてその影はやがて全てを呑み込み始める。
----それこそが、新たなる魔女の誕生の瞬間だった」
命がある
そう 世界が存在を拒むなら
天の巡(めぐり)に
抗ってでも
生きていこうと誓いながら
二人だけ 在るように
「ある日、リフルは病に倒れる。
村で孤立していた彼女に手を差し伸べる者は----」
味方など
何処にも居ない
呪われている
その命の全ては穢れ
命の重さに
差などない筈なのに
医者でさえその命を
護ろうとはしない
私独りにできることなんて----
震える両の手をただ胸で組み合わせて
あなたに乞うばかり
天よ聞け
慈悲があるなら
呪いなど知らない
この子の命に
庇護のあるようにと
天よ聞け
信じた全て
あの子の分までさえ
私がどうか背負いますからと
虚空に消える
儚い祈り
それでも今日も跪く少女は健気に
次第に募る
疑念が薄黒く
神というまやかしだけ
それでも変えられない
弱弱しくも笑うその顔に
今日も笑いかける
世界が害さぬよう
護ってあげたい
天よ聞け
祈りよ届け
吹いて飛ぶような命
それでもけして消させなどしないと
天よ聞け
ただ一心に
何のための命か
ここで消える運命になどないと
「何の役にも立たない祈り。
人一人さえ救うことのできぬ神--リディアは力なく頭を垂れる」
「ありがとう、でももういいんだよ。
……私はね、最初から産まれてこなければよかったんだよ」
「そんなはず……無い。そんなこと、あっていいはずが無い。
これが全部神の悪戯だなんて。そんなの、絶対認めない」
「リディア。傍にいてくれて、ありがとう----」
許されない
命がある
そう 世界が存在を拒むなら
私こそが
世界だったなら
この子を許すことができただろうか
天よ聞け
無価値な祈り
唾棄すべき幻想
こんな世界は決して認めないと
人よ聞け
無窮の誓い
永久に傍にいるため
この命さえ手放すその刹那
言葉にならぬ
雷鳴にも似た
不可視なる衝撃
声が聞こえる
語りかけるは
「お前こそ そう、相応しい」
「それは祝福か、あるいは呪いなのか。
少女(リディア)から広がり、立ち上りゆく無数の影。
そしてその影はやがて全てを呑み込み始める。
----それこそが、新たなる魔女の誕生の瞬間だった」
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