冬蛍

吹雪の向こうの 赤ちょうちん
さすらう心に ふと沁みて
暖簾をくぐれば 振り返る
女の笑顔の 暖かさ

しばれて来たわね お客さん
ストーブ間近に 来てという
熱燗頼めば 兄さんに
似てると真顔で 俺を見る
蛍 蛍 誰を待つのやら

針音まじりの 番外地
兄貴の 十八番の歌だとか
ホッケに湯豆腐 氷頭(ひず)なます
私のおごりと はしゃぎ酒

表は真っ白 雪嵐
朝まで飲んでも いいと言う
男の心の 流氷を
じんわり溶かして 夜は更ける
蛍 蛍 ぽつり雪ん中
蛍 蛍 誰を待つのやら
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