薬屋さん

紫陽花の花が
六月の雨に濡れているよ
だから
窓を開けて
だから
窓を開けて
薬瓶から零れ落ちる
悲しい雨垂れ
一粒
あいつの噂 忘れるさ

朝顔の花が
七月の朝に揺れているよ
だから
手を伸ばして
だから
手を伸ばして
テニス・コートが燃えている朝に
陽気に唄う 伊太利の唄

薬屋さんよ
胸の痛みを運んでおくれ
さもないと薬箱が風に舞う

長椅子に凭れ
八月の声を聞く頃ともなると
ただ
齢をとるばかりで
ただ
齢をとるばかりで
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