猫のヒゲ

もし君がまだ見ぬ君が 目が見えず産まれたなら
ある盲目の画家の話をしよう
その画家はとても優しく 体全体で感じた風景を 毎日毎日描いてた
春の囀り 夏のそよ風 油絵の具の粘り気の違いで色彩を感じながら

その画家はとても優しく 世界中に認められて 名画に触る事を許された
時代を超えて彼は見た 古い名画に隠された凹凸が語るメッセージ
震える筆で波打つ線には 100年誰も気付かない涙の跡があった

君に何かが足りなくても 他の人と違ってても
絶望の世界は与えたくないから
もし君がまだ見ぬ君が 目が見えず産まれてきても
僕は君の目にはならない 君より僕は早く死んでしまうから

僕は君を待っているよ 君に会う日を待ってるよ
待ちきれないほどに待ってるよ
少し気が早いけれど バースデープレゼントは 猫のヒゲで出来た絵筆だ
初めましての自己紹介しよう 短い風が二回吹けば それが僕だよ

君にしか見えないものが 世界中に散らばってる
その殆どが目には写らない
覚悟を持って生きるもの それだけが掴めるもの
がむしゃらに手を伸ばせば触れるもの
自分らしさは君には要らないよ すでにすでに持っているよ
世界で一つのもの

君に何かが足りなくても 他の人と違ってても
絶望の世界は与えたくないから
もし君がまだ見ぬ君が 目が見えず産まれてきても
僕は君の目にはならない 君には僕より沢山生きて欲しいから
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