昭和放浪記

女の名前は 花という
日陰の花だと 泣いていう
外は九月の 雨しぶき
抱いたこの俺 流れ者

女は教えて 二十一
しあわせ一年 あと不孝
枕かかえて はやり唄
歌う横顔 あどけない

女は眠いと 目をとじる
夢でもみるなら それもいい
雨戸細目に そっとあけ
あおぐ夜空は 雨あがり

女がにぎった てのひらに
お守り一枚 そっとのせ
出ればまぶしい 朝の日が
今日を教える 流れ者

旅を重ねる 折々に
ふれる心の 放浪記
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