egg

真っ暗闇の中に 真っ白なたまごひとつ
淡い光を放ち ポツリと置かれている
群衆は見つめてる 真っ白なたまごひとつ
身じろぎひとつせずに 私も見つめている

今 目の前で 眠ってるのは

ああ 溢れそうな ああ よろこびだろうか
ああ 怒りだろうか
恐れなのか哀しみか 横たえられた絶望か

誰もが見つめながら 誰もが決して触れない
誰のたまごでもない その代わりに
誰もが自分が生んだと知っているから

時の流れに 生まれ来るのは

ああ 我が儘の ああ 報いだろうか
ああ ほうむられた遠い過去の真実か
放棄された未来たちか

時は訪れ 殻は弾けた

ああ 溢れそうな ああ よろこびだろうか
ああ 怒りだろうか ああ 絶望だろうか
ああ 闇の中で 震えたのか うめいたのか
それは かすかに目を開けた
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