Crystal

少しだけ肌寒い24時ちょっと過ぎ、ときどき思い返してみたりするの。
この手には入らないものだらけの世界で、君を見つけてしまった、
透き通る夜のこと。

スピーカーを震わすビート。
その隙間からほんとは囁いてみたい言葉があったんだ。

「冷めた色の摩天楼街の片隅で、それでもどうにか心を満たしてよ」
そんなふうに言い出せないな……。
だって、僕が君を見るように君は僕を見ているの?

窓の向こう側の知らない街の灯が、眠る君をたやすく隠してしまう。
瓶に差した花の茜色がゆらいで、眠れぬ夜に君の目や髪や声を想う。

ヘッドフォンを外した瞬間が静かすぎて、
想像以上に大きいため息に気づく。
会いたいな。

いつかは打ち明けられるかな。
そんなひとときを夢見ているけれど、理想と現実は遠いな……。
だって、僕が君を見るように君は僕を見ているの?
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